第21章 波乱の幕開け
彼は目立ちたがり屋で、中心に立とうとばかりしていました。
おそらく、外見から目立っていた私を煩わしく思っていたのでしょう。
両方の意味で目を引かれていたので。
誰も味方がいないということで、やりやすかったでしょう。
その辺はケイトと全く同じでした。
誰も聞く耳を持たず、いじめを悪い行為とも思っていないままされ続けたという点においては。
だからこそ、余計に絶望した。
お爺様から聴いていた話とは随分と違っていたことに対する落差もあります。
日本人とは誇り高きもの、仁を有し、義を愛する人。
困っている人がいれば助け、支えとなり、護ろうとする。
だからこそ護るために武術を昇華してきたのだと言われていた。
まずは隣人を護り、それからその範囲を徐々に広げていけばいい。
武術を学ぶということは、力を持つということ。
ひいてはそれによって生み出されたそれの責任を、自らが背負うことへ繋がる。
護りたいものが、その存在となる人がいつしかできる。
仲間、友人、愛する者…何でもいい。護れるようになりなさい。
そう教わった時から、感じていた。
学校とは、人との距離を知り、付き合い方を学ぶ場所でもあると同時に勉学も行う場所だと…
しかしその実態は非常におろそかで…
多人数の意見を信じ、少人数の意見には耳を傾けず蔑ろにするばかりか、いわれのない罪まで背負わされる。
人をいじめ、それが罪状に問われるものだと教えもしない。
あまつさえ連帯感さえあればいいと、皆で赤信号渡れば怖くないという意識を否定もしない。
気に食わなければ何をしてもいいという彼等のそれを撤回させることもしない。
そんな環境の中では…家族しか、いなかった。
彼が意図して起こした『学級崩壊』など、ろくに気付きもせず鵜呑みにして私を責めるだけ。
日本人そのものへの不信感に変わったのは、金目当てで近付いてくる輩に関してです。