第21章 波乱の幕開け
ケイトは私の両肩を掴んだまま、真剣な表情で必死に考えつつ
私へ語り掛けるように、諭すように、ゆっくりと言葉をかけた。
理解が追いついて、私もまた合点がいった。
私もまた、その当時には家族しかいなかった。
だからこそ、彼女の存在が尚更愛しく想えた。
その過去があって、それまでにいなかったという経験があったからこそ
その当時の私がいて、余計に強くそう思えたのだと理解できた。
ケイト「クレハに会ったのが後のことだったのは…
きっと、幸せだって想いがはちきれるぐらいになる為だったんだよ!^^」涙
そう笑顔で、涙を流しながら語るケイトに…私も涙した。
私も、同じだったから。
クレハ「あなたに会えたことが、とても嬉しかった。
あなたのような人に会いたかった。友になりたかった。
だというのにあまりにも周りは、違っていて…;」
それから…私は自身の過去を打ち明けた。
彼女にならと思った。ただ、聞いて欲しかったのもありました。
私は昔、小学校に入った頃からいじめを受けていた。
「日本語わからないんじゃないの?」
「えー?英語でしゃべれないの!?」
「命狙われそうで怖いから嫌!」
「その内誘拐されたりしてな」
「お前ら、そんな聞こえるように言って」
「大丈夫だろ、日本語なんてわかりっこないって」
「そうだな」
げらげらと笑う周囲の声。
それから程なくして学級崩壊に陥りました。
そうなった理由や責任を私一人に押し付けられ、退学を余儀なくされましたが通信学習で教養は身に付けました。
そしてその学級崩壊に至る分離を促し、周囲を抱き込んで自在に動かした張本人は「そんなことはしていない」と白を切るのみ。
そしてその両親や先生は庇い立てをする。
そんな周囲を取り巻く環境に、私は思った。
『人など』…『日本人など』と……
その時が、『日本人』という存在に絶望した時でした。
仲間意識が強いと盲目になり、間違ったことはしていないと思い込めば何でも正しいということに変換される。
逆らえばひどい目に遭うかもしれないという恐怖を抱く人、自分の意見を持たずに流される人もいて、
人として間違ったことをしていてもなお悪くないと言い張り、金魚の糞のように彼の取り巻きを続ける人が多かった。
張本人の彼はいじめっ子だった。