第21章 波乱の幕開け
クレハ「だとすれば、私もあり得るのでは?」
ヒースクリフ「いや、その際にはまた同じアイテムを使えばいい。
ケイト君にも渡してあるからね」
クレハ「随分と抜け目がないですね」
ヒースクリフ「保険は作っておくに越したことはない。
経験上ね^^」にっこり
クレハ「油断のならない人」じろ
ケイト「……
ぅ…
あれ?私、話してたんじゃ?」
クレハ「ええ。話してましたよ。
私とグレイクの部屋の件について話した後、あとはと言っていましたが何か?」
ケイト「あー。
あとはね…ヒースクリフについてなんだ」
『?』
ヒースクリフ「私に何か用かな?」
ケイト「…ヒースクリフ、いきなりここから出れなくなったことなんだけど…
憎んでいないと言ったら、嘘になる」
クレハ「!」
いきなり打ち明けられた言葉に、私は固まった。
GM権限を利用して殺すことなどいつでもできるというのに、そのような話をわざわざ目の前で行うことに。
ケイト「だってそりゃ、何の心の準備もなしにいきなりだったんだもの。誰だって怒るわ」むすっ
ヒースクリフ「ほお。それでどうする?
私を殺すかね?」微笑
ケイト「ううん」首を横に振る
ヒースクリフ「何故?」
ケイト「私さ…この世界に来れて、ここで過ごせて、たくさん知ったことがある。
全力でぶつかっていいんだってこと。自分を殺してまで、相手の為に動かなくていいってこと。
何より、自分を殺して相手を幸せにした所で、それは本当の幸せじゃないってことをさ。
どんな状況に陥ったって、信じてくれる人に出会えた。
共に立ち向かおうと、支えようとしてくれる人に出会えた。
一番の宝は、そこだって思うんだ。
でも私なりに、この感情にけじめ付けたくって話した。
この憎しみは、いきなりの変化で生み出された負の感情は、決して消えないものだから。
死刑執行システムもそうだ。プレイヤーにさせたのは、何か意味があると勝手に思ってる。
私は、たくさんのことをここから学んだ。
生きていきたいって思える気概も、生きるということが何なのかも、それこそ全部さ!(にこっ)
だから、はっきりと言わせて欲しい!
ありがとう、茅場晶彦さん^^」
そう言った後、ケイトは静かに頭を下げた。
深々と下げられた頭に、彼は不敵に笑った。