第21章 波乱の幕開け
クレハ「今の彼女は、光を使った状態になっているということですか?」
ヒースクリフ「今の所はね。
だが、光そのものと溶けてしまいかけている…とも考えられる」
クレハ「それを改善するにはどうしたら?」
ヒースクリフ「自分でコツを掴ませるのが一番いい。
おそらく、今までに蓄積した体感時間が200年を越したのだろう。
脳を護るために、意識が強制的にシャットダウンされた状態だと考えてもいい。
ただ、身体が光へと溶けてしまう状態異常へと陥っているのだという可能性もある。
ここが圏内であろうが、圏外であろうが関わり合いなしにね」
クレハ「!!…今、何と言いました?」
ヒースクリフ「?
身体が光へと溶けて」
クレハ「その後です!」
ヒースクリフ「圏内だろうが圏外だろうが関係なしに」
クレハ「その前!!」
ヒースクリフ「…状態異常か!」
クレハ「ええ!
前にあなたからもらった、赤ん坊となった状態異常と同じ類のものなら!」
ヒースクリフ「なるほど、考えたね(顎に手を当てる)
身体自体に異常が発しているのなら、そのアイテムを使用すればいい。
だが、それで確実に治るかまではわからない。
よしんば治ったとしても、それを繰り返さないように努力しなければいけない。
私達の身体は『データ』としてこちらに居るが、その身体が『光の量子』として溶けてしまっている今…
何らかの形で影響が現れかねないが、それでもいいかね?」
クレハ「ええ。彼女の命が助かるのならば」
ヒースクリフ「そうだね。
身体が溶けてなくなった際に、システムがHPが無くなったと誤認されて彼女が死んでしまう事にも繋がりかねない。
早急に使う必要があるだろう」
クレハ「それで使い方は?」
ヒースクリフ「『治癒、ケイト』。
治癒といった後で対象となるアバター名を言えばいい。
ケイト君の場合はSaiverという名だったね」
クレハ「ええ!
『治癒、Saiver』!!」
そうケイトへ向けて、ヒースクリフから以前渡されたアイテム(586ページ参照)を構えて叫んだ直後
そのアイテムが役目を果たしたのか、パリィンと破裂する感触がし
白いエフェクトがケイトの全身を包み、消えかけていた左手が戻りました。
それだけでなく、光の量子に溶けることは無くなりました。