第19章 正体
クレハ「ケイトに会えた…グレイクに会えたっ」震
自然と嗚咽と共に震えが沸き上がり、それと共に涙が止められずにいた。
ぽとっぽととっ
クレハ「仲間に会えて、共に過ごせて…
信頼できる人達に囲まれて…想像もしなかったことばかりが、目の前で起こりました。
彼女に出会えなかったら、あなた達に出会えなかったら…
そう考えると、涙が止まらないっ。
家族しか知らなかった。あの頃と比べれば…
ここは、どれほど恵まれているか…そこに目を向けることができた。
できるようになった。
この人が愛しくてたまらないっ;;」ぎゅっ
ケイト「…んう」身悶え
そう涙ながらにケイトへ覆い被さって抱き締めると
ケイトはどこか息苦しそうに呻き声をあげました。
それを見た彼がとった行動は…問いかけでした。
ヒースクリフ「…その気持ちはよくわかる。
だとして、それとこれは別問題だ。
再び問おう。
君は、私をどうしたい?」
クレハ「…(ごしごし)
あなたは…他でもない、彼女が信じた人です。
私も、信じます。私を信じてくれた彼女を。
彼女がそうしてくれたように」にっこり
ヒースクリフ「ふふっ。
…はあ。甘いな」
クレハ「ええ。私もそう思います。
本来なら咎めるはずなのに、だというのに…彼女と来たら、こういうんですよ。
『敵じゃないよ!
あの時、一緒に笑ったのも、怒ったのも、泣いたのも…全部、本物だった。生きていた!
バカやって、一緒になって笑って、はしゃいだり、叫んだり…
それは…ヒースクリフがいたからだ。
だから…感謝してるんだ。
一緒に居てくれて、たくさん助けてくれて、たくさん護ってくれて…
愛してくれて…ありがとうってさ。
たとえ茅場でも、変わんないよ。
護ってくれなきゃ、もっと死んでた。助けようとしてくれなきゃ、もっと殺されてた。
だから……私も、護りたい!』
彼女の言うそれは、机上の空論なのかもしれません。
それでも…彼女のその人柄は、十二分に『信じるに値します』」
そう話してくれた時の彼女の笑みを脳裏に浮かべながら
私もまた笑って、彼へ向けてそう言い張りました。
すると、ヒースクリフはどこか不思議と笑っていて…
満足気な表情を私へ向けて、腰掛けていた椅子から立ち上がりました。