第19章 正体
その後、ケイトは私の部屋のベッドで寝かせ
私は横に椅子を付けて、ずっと寄り添っていました。
右手の人差し指を握られ続ける中
そっと左手で布団をケイトのいる左側へと引っ張って被せ
それから胸元を撫でるようにぽんぽんっとリズムを取ってみると
とても幸せそうに、にこにこと笑っていました。
部屋に運ぶまでに私は、各ギルドに『ケイトの状態』と『事の顛末』を伝えるように話し
結婚式と披露宴で延期していた51層ボス攻略を、今日の昼ではなく晩に変更してもらいました。
この赤子状態は朝8時5分まで続くようなので、流石に朝に打ち合わせは出来ないだろうというのが理由です。
リズベット達、防具製作を持ってる人達は集められ
手に入れた『還魂の聖晶石』を相手に分解を用い、素材を集めて合成で製作中です。
今日の朝10時までにはプレイヤー全員分製作を終え、ギリギリ間に合うとのことでした。
というのも、昼0時になればクリスマスプレゼント
昨年にも配った全種類結晶1個ずつに加え、還魂の聖晶石を全プレイヤーへ配布するとのことを公表していました。
その為、他のギルドからの追随は起こらず、私達に任せるということになりました。
どちらにせよ、多人数が持っていた所でNPC店への売買価格は崩壊しないだろうし
傍に居る人がいつでも命の助けになれるという点から、どうせなら『そちらを優先すべき』との判断によるものでした。
そのケイトの意見は、誰かが独占して売買するよりはと
圧倒的支持を得、現在に至ったわけです。
ケイトを私のベッドに寝かせてから数分後、ヒースクリフが聞きつけたのかやってきました。
クレハ「…来ましたね」
ヒースクリフ「やあ。
ケイト君を見せてもらってもいいかな?^^」
クレハ「ええ、どうぞ^^」
ヒースクリフ「ほお…本当に赤ん坊になってるね^^」なでなで
クレハ「ええ…」
ヒースクリフ「そうそう。
この状態異常を治すアイテムがあるんだが、使うかね?」すっ
差し出されたものを受け取り、見た時
私の長い間抱いていた疑念は、確証へと変わりました。
クレハ「…ヒースクリフさん。
いえ、茅場晶彦さん。
ついに、尻尾を掴みましたよ?」にっこり
その声が部屋に響いた時、ヒースクリフの様子と雰囲気が変わりました。