第17章 不測の事態
それがあったおかげで、私は先程から避け続けることに成功している。
本当に…修業を付けた際に気付けてなかったら、終わっていた。
攻撃が当たった瞬間、光で受け身を取った。
そのお陰でダメージは激減、それに伴いHPの減少率も圧倒的に下がった。
だからこそ私は、今生きている。
特に気にも留めてなかった。
それがこんなことになるなんて…
最上位移動技でありながら、硬直時間が皆無。
これは非常に有利だ。
《跳躍》もまた『皆無』の為、瞬時に攻撃技へと応用できる上、攻撃技との同時併用も可能だった。
神速格闘術最上位移動技・光もまた同じく、攻撃技と跳躍と同時に
スキルキャンセルしないようにすれば、それは圧倒的な強みとなる。
現に、50層フィールドボスに使ってみた所、一瞬で消えた。
HPバーが4本あったにも関わらずだ。
光と同時に無尽連斬の跳躍、反対側の壁で止まる。光が解除される。
そして光と同時に再び無尽連斬の跳躍、といった感じで続けていくと
光の速度による加速故か、威力が段違いに上がった。
そしてその101連撃を打ち終えるまでにかかった時間は、それまでどうあっても十数秒かかっていたのだが
僅か一瞬、時間にして0.01秒だった。
無尽連斬についての詳細は129ページ参照。
攻撃パターンは全て把握した。
レッドゾーンまで減ってHPバーが赤くなれば、ボスの攻撃パターンも変わるだろうが…なんてことはない。
咄嗟に光と跳躍で腕のない方向へ動けば難は逃れられる!!
ここからずっと、私のターンだ!!
そうはっきりと感じてから私は不敵に笑って
双短剣を構えるや否や光を用い、真っ直ぐにボスへ向けて走って行った。
ボス部屋に入って、僅か1分10秒。
そこからボスを倒すまでは、本当に一瞬で終わった。
しかし、当人の研ぎ澄まされた感覚が全てボスに集中していることから
光を使っている折に、思考もまた光速となっていることに気付いていなかった。
僅か1秒、一瞬でさえも遅く感じる中…
それらに本人が気付いたのは
全てが終わった後、時刻を確認した時だった――