第17章 不測の事態
「除夜連斬(じょやれんざん)」:神速格闘術上位剣技(243ページ参照)。
神速格闘術の攻撃技は、それだけだった。
最上位技にあったのは、光速移動技術。
攻撃ではないということから、そのソードスキルはスキルスロットに入れずにいた。
注意深く読んでさえいなかったのだ。
だがそれは、跳躍とそれを同時に発動すれば、その速さは尋常じゃないほど上がる。
光速以上の極致へと辿り着く為に欠かせないそれだと、その時になって気付いた。
そして辿り着いたのが…
先程からやっている、光(こう)。
『「光(こう)」:神速格闘術最上位移動技。
光速移動技術、全身が白いエフェクトに包まれる。
100km先であろうが僅か一瞬で駆けつけ、一瞬で背後を取る技術。
全身が光と同化することで光速で動くことができる』
説明文にはこうあった。
だから『ただの移動技だ、戦闘にはそんなに必要ないな』と思って、深く考えることもなく入れていなかった。
全身で隙無く構えるのが発動条件。
そして一度移動してから止まれば解ける。
しかし硬直時間が《跳躍》と同じく『皆無』の為、瞬時に攻撃技へと応用できる上、攻撃技との同時併用も可能。
それらを知ったのは、一度実際に使ってみてからだ。
瞬間移動に等しい速度の上、直線にしか進めないので使い方が肝心。
間に何かがあれば途中でぶつかって止まる上、ぶつかったものが爆散するので要注意。
連続で角度を調整しながら繋げるよう使い続けていけば勢いが増していくことにより、その速度は連鎖的に跳ね上がっていき、最終的には光速でさえも超える。
その勢いのまま殴ったり斬れば威力は遥かにあがる。
その光と同時に跳躍も使えば、その威力は倍増しになる。
両足に集中させることで部分化として応用できればとも思ったが、そうすれば残りの部分がダメージを食う。
無論、物質であれば耐えきれずに死ぬ。
一度だけ腕だけ覆わずに光をやってみた結果、一瞬で動いたと同時に消滅した。
それ専用のスキルだと、その時になって分かった。
体術は、攻撃に準じるものだと思っていた。
でも違った。
足さばき、体さばき等と同様に移動技もまた重要だった。