第17章 不測の事態
クレハ「ケイト」
そっと、その涙をぬぐうように頬を優しく撫でた。
そして…彼女が居てくれたからこそ、学び得たことを伝えた。
きっと、いつもの彼女に戻ってくれると…ただ、そう信じて……
クレハ「でも…誰もが抱えていることなんです。
それでも乗り越えて、生きなければいけないんです!
人が人として生きるためにも!
あなたがそう教えてくれた!その生きるということを、命有る限り投げ出してはいけないんです!!
死んだら…ダメなんです!絶対に!!何があろうとも!!!
生きなければ!!いけないんです!!!!」
強く抱き締めながら私は本気で叫んだ。何度も叫んだ。
届くようにと…思いが通じるようにと……
白い流星…皆の願い事を叶えて回る、笑顔を望むバカな人……
自己の損害など一切気にせず、お人好しの度を越えた、大切な人だから。
クレハ「狙われようが狙われまいが、関係ありません!
あなたは、それをひどく後悔しているのでしょうが、私はその事まで後悔など断じてしません!!
あなたと出会わなければなど、死んだ本人は思いません。
あなたと過ごした日々は、とても輝いていて、本当に…幸せだったから…
それで死ぬことになったとしても私は、そのことを悔いるつもりはありません!
私の想いを無視しないで!!」
ケイト「!!」
その瞬間、『私の想いを無視すんな!!』というケイトの叫び(335ページ参照)が脳裏によぎった。
そしてそれはケイトも同じようで…
自分が悪いと決めつけ、それのみしか見えなくなっていたそれが
違う方…私の方を、ちゃんと見てくれた。
クレハ「私は…あなたといられるのならば、その結果が喩え死でも喜んで受け入れます!」
ケイト「でも受け入れちゃったらもう;」
クレハ「無論、死んだ後でです。
それまでは全力で、全身全霊で死なないよう頑張ります。
一緒に…生きるのでしょう?」
ケイト「うん…うんっ!」涙震
そっと手を握ると、涙をこぼしながら
ケイトは何度も頷いた。
嬉し涙だと解ったのは、その響く声から感じ取れた。