第17章 不測の事態
クレハ「私は…クォーターなんです。日本人とアメリカ人の…
隔世遺伝で、祖母と同じような外見で…
それでも祖父から紛れもなく日本人だと、胸を張れと言われました。
『堂々と貫きなさい。自分の生き様を…
私は、お前を信じている』
そう笑いかけてくれた祖父に応えようと、私は…っ!
そして…いつの間にか、それしか見えなくなっていた。
それだけが、家族だけが全てに変わっていた!
でもあなたは、教えてくれた。
自分のしたいことをしてもいいのだと、家だけにとらわれず、自分という道を見つけて、やりたいことを追いかけてもいいのだと!
それが生きるということなのだと!!」涙
感極まって泣いてしまった。
それまでの自分を思い返して、本当に…
このような日が来るなど、思いさえもしなかったから。
クレハ「あなたと出会えなかったら、私は私でなかった。
ましてやこのゲームで死んで戻れたとして、本当に生きているとなど言えていただろうか?
そればかりが胸をよぎって離れなかった!
それまでのものがあったから!余計に!!
強く…そう思ったのです……
だから…
私は!あなたを!!死なせたくないっ!!!」
ぎゅううううう!!!
涙の叫びが響いた。
必死に、抱き締めた。
死なせまいと、そう考えさせまいとただただ必死だった。
ケイト「だったら…
だったら……それまでの痛みは、傷はなんだったんだよ;
どうしたって消せないんだよ!!
消えてくれないんだよ!!
死にたいって思いも!殺したいって思いも!消えなきゃいけないって思いも!!
だから…だからっ!!
死ぬ以外…道なんて、ないじゃんか!!」涙
どちらの思いも、よくわかっていた。
その想いは、私も知っている。
虐められた時、学級崩壊が起こって私一人に責任をなすり付けられた時…
それらがあったから、余計に……
殺そうとされたことはなくとも…
自分という存在を、否定され続けた。
向き合うことも、ぶつかり合うこともないまま決めつけられたから。