第16章 時期外れのイベント
ケイト「最初は何をするか言いながらやる。
対処してみろ!」
クレハ「はい!」
ケイト「斬る!」
しゅっ!!
ざしゅ!!
ケイト「遅い!」
クレハ「もう一本!お願いします!!」
ケイト「まだまだぁ!!」
クレハ「もっと!!」
ケイト「そりゃあ!!」
クレハ「まだまだ!!」
まるで千本ノックだ…;
いつも見せていた穏やかな風貌など、どこにもない。
生き抜くために身に付けた圧倒的な集中力、一瞬の変化さえも見逃さない洞察力、全てを捉える動体視力。
それらは、家庭内で常に殺されかけ続けてきたことからこそ身に付けた術。
真剣な面持ちで、自然体で真っ直ぐに向かっていた。
さらには目で見なくても自分の身体がどう動いているのかを感覚で、全身まで全て把握する技術、
目で見えない場所=死角からの攻撃にも対処しなければいけなかった。
いつ拳、蹴り、攻撃が飛んでくるかわからなかった。
後に、常に全身へ感覚を研ぎ澄ます力ということで、視えない場所からの攻撃の対処もまた、強いられることになったらしい。
ちなみに、その対処法は目を全くそこへ向けないまま
僅かな空気の流れの変化、周囲の気配を全身で感じることで
咄嗟に変化が起こった場所、そこにあるであろう攻撃を斬り払うという反射、前人未踏の『超人』の域に達しているものだ。
いつも死角からの攻撃を、それを感じて受け身を取ることでダメージを最小限にしていたらしい。
と言っても、相手(父親)に気持ちよく殴った蹴ったという感覚を与えなければ、もっと悲惨に攻撃され続けていたらしいので、ケイトは常に悲惨なダメージを負うか負わないかのギリギリ=刹那のタイミングでそれを全て完遂しなければいけなかったようだ。
それらにより、より僅かな短い時間、
すなわち一瞬のみで受け身を取り終えるという異常な速さの全身動作が必要となった。
そのタイミングが一瞬過ぎることから身体の動きを読まれることも少ないため、一瞬だけに全身の動きを集約しろとのことだ。
だからこそ、一瞬においての行動量が非常に多くなり、その動作数が増えれば増えるほど汎用性を増す。
そうして辿り着いたのが今の強さだとのことだ。
一瞬でできることを増やしていくことこそ、戦いの勝敗の分け目となり
受け身、流し、カウンター、万(よろず)へと通じるらしい。