第16章 時期外れのイベント
ケイト「…」ぎりっ
クレハ「わかって下さい!!ケイト!」
ケイト「…わかった。殺す気で行く」すっ
その瞬間、空気ががらりと変わった。
いつものような、ほんわりとかのほほんとした空気なんかじゃない。
ピリピリとして、今にも殺されるかのような臨場感が、そこにはあった。
クレハ「っ」ぶるっ
ケイト「斬る」
ふっ
クレハ「!!消え
ずばっ!!!!
僅か0.数秒、目を離していなかった人達の目にも映らないほど
それは非常に速く、鋭かった。
クレハに合わせての本気だったということを、ショックを受けないよう手加減をしていたのだということを、その日に知った。
一瞬で身を沈めながら前屈みに床ギリギリで低空跳躍
クレハの懐に入ったと同時に、両足での跳躍を伴いながらの下段から上段への斬り上げ。
そこにはいつものような笑顔も、全くなかった。
殺すか殺されるか、そのどちらかしかないような鬼気迫る感覚。
先入観にとらわれず、相手の動きを感じ取る。
僅かな所作から、微動から、反射とも言える速度で斬る。
相手に、一瞬の隙さえも与えず、避けられた場合の備えも常にしつつ…
完膚なきまでの敗北が、そこにはあった。
クレハ「…っ」
ケイト「クレハ…」睨
クレハ「!」ぞくっ!
ケイト「私に追い付くんなら、まずは常識捨てろ。
相手がどう動くかなんて、その時にならなければわからない。
データやそれらにとらわれるな。それで足元掬われるな。
今までの勝利も敗北も何もかも、全部忘れろ。
意識をここだけに集中して、剣と共に戦え」すっ
剣先を向けながら静かに言うそれは、数多の死線を潜り抜けた猛者そのものだった。
ケイト「まずはそこからだ。
剣に意識を集中。目は自身の身体には向けない。
相手と剣に集中。僅かな微動すらも見逃すな。
気配の流れを感じろ。空気の流れを感じろ。
敵は待っちゃくれねえぞ」
クレハ「ええ!」
それから、本当の試合が始まった。
その数時間後、晩御飯となって
それを終えてから後、再び修業を続け、10時過ぎに風呂とシャワーを浴びて就寝した。
ちなみにKさん、もといクラインはショックのあまり気絶&沈没していた。
一日密着取材、終わり――