第15章 強さ
ふと、今宵ヒースクリフから言われた言葉が蘇る…
ヒースクリフ『ケイト君には価値がある。
システムにも勝る、大きな存在価値が。
彼女は嘘をつかない、優しい、常識にとらわれず、誰よりも真っ直ぐで、それ以外のぶつかり方を知らない人だ。
だからこそ…救われた人は数多く存在する。
本来ならば、きっと…
デスゲーム開始から一か月後に死んでいた人数は、2000を越していただろうからね。
そんな彼女だからこそ…この先を見てみたい気持ちになる』微笑
クレハ『ええ…私も、同じ気持ちです』微笑
花火を見やる中、隣に立って呟かれた。
ヒースクリフ『いつも彼女の隣に居るクレハ君だからこそ頼む。
どうか、彼女の力になってくれ』
クレハ『ふっ)言わずもがな。最初からそのつもりです』微笑
ヒースクリフ『ふっ)頼んだよ…
彼女を、死なせてはならない』微笑
一体…どうすれば、力になれるのでしょうか。
ベッドの彼女を見やり、私は一人途方に暮れた。
これまでの自殺等による死人は200人程度、ボス攻略や迷宮攻略では0人、
プレイヤーによって殺された人数は50人、ラフィンコフィンの面々で殺す対象であった人数は22人、
外部の人間によって強制的にナーヴギアを外された者が、現時点で213人ほど死んでいることを含めると
1万人ものプレイヤーの内、死者は総合485人。
彼女によって、1800人近くものプレイヤーが自殺から立ち直った。
その全てが、白の鳳凰へ入っている。
ゲームにおいてもなお、リアルをどれほど実現できるかに熱中する彼女。
まずは料理に打ち込み、空腹を和らげるだけの行為を、味わって楽しむ行為へと変えた。
様々な方法、工夫を駆使して、常識外れな行動で思いもしないものばかり作り上げていった。
だからこそ、救われた人が数多くいる。
それでもなお、自殺した人を救い切れなかった自責の念から
自身を責め続け、泣いていたこと(206ページ以降、すれ違い章参照)もあった。
そんな彼女を救いたい、どうしても。
でも方法がわからない…
それを考える内、気付けば夜は明けていました。