第15章 強さ
赤い光が、ポリゴン片となって散っていく。
粉々に散っては、再び身体の欠損が時間を過ぎた部分が直っていく。
その治った部分を、片っ端から再び殴り続けていく。
ケイトの狂気にも似た笑い声は…叫びは…
あまりに痛々しく、必死に止めようと、締めようともした。
でも…それでも…
全て払いのけては、何度も自身を罵倒しながら殴り続けていた。
クレハ「っ…やめてっ」涙
ケイト「傷付くのが普通だったもんなああああ!!
ようやく思い出したか!!?
あんな普通あるはずないんだもんなあ!!?
痛みを味わい続けるのが普通だったもんなあああ!!!
あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!^^」
何度目かわからない声が、叫びが、自身への拳打が、止めどなく続く。
目の前で、何度止めようとしても続くそれに
傍に居ながら止められない、助けられない現状に…
私は口元を両手で覆いながら、溢れ出す涙を止められなかった。
何度目かわからない、やめてという言葉…
それにもかかわらず、ケイトは笑い叫ぶ声を上げながら殴り続けていく。
クレハ「お願いだからッ!
もう…やめてッ!!;;」ぎゅううっ!!
それに私は居ても立っても居られず、覆い被さった。
殴られてもいいから、止めたかった。護りたかった。
すると…小さな変化が起きた。
その眼は、先程までなら真っ暗に沈んでいたものだった。
それが…僅かながらに光を取り戻し、目を潤ませていた。
クレハ「!…ケイト?」
我に返ったのだろうか、その期待と共に目を見つめると…
私の涙が、仰向けになっていたケイトへと落ちていった。
ケイト「…っ;」涙
私の涙が両頬へ落ち、私の温もりがケイトを覆った後
ケイトはそれに涙を潤ませ、両目から両耳へ涙が伝う中
その身を覆う温もりに縋るように、両腕でしっかりと抱き締めてきた。
それからは…私の温もりに落ち着いたのか、眠りについた。