第15章 強さ
ヒースクリフ「どんな風に視えているのか…聞こえているのか…
それらは一度見せてもらったが、異常そのものだったよ。
そうでなければ、彼女のそれは持ちうることさえもできない。
神速格闘術は…
その数多な感情の思念さえも感じ取り続けている中でも目の前のことに集中できる、圧倒的な集中力と並列処理能力から可能となる技だ」ふっ
クレハ「何を笑っているのですか?不謹慎な」
ヒースクリフ「いや…くくっ。
あれほど、人間というものが全て視える眼はないだろう。
前世や今世の出来事、生まれ変わった回数、魂の位、してきたことの全て!
今感じている感情からその全てが、人ひとりと向き合うだけで押し寄せてくるのだからね!」
高笑いにも似た笑みに、私は不快感を覚えた。
ヒースクリフ「それを感じたくないからこそ、
普通の人のように見えたいがこそ、心の声ではなく実際の音声を聞きたいからこそ
必死にそれらを光速で常に思考し続けることで感じないようにしている!
だが現実ではどうだ!?
人はそれを押し殺しては裏で冷ややかに陰口をたたき、嘘をついばみ、自身の責任はないがしろにするくせ人の責任は追求する!
あれほど歪んだものはない!!」
クレハ「ヒースクリフさん!!!」
ヒースクリフ「!…」はっ
クレハ「…言い過ぎです。
確かに、そういう方々は非常に多いですが…今、言うべき問題ではないでしょう?」
ヒースクリフ「…失敬。取り乱してしまった。
前に見せてもらったそれに、見え方に…思わず、ね。
本来なら頭がはちきれるだろう情報量が常にあった」
クレハ「ええ…
一度、視えるそれを体感させてもらったことはありますが…
あの世とこの世、この世に住む全ての人、あの世の変化……
全てが、同時に視えて聴こえて…
その中でもより一層、傍に居るものの思念が強く……
心の声と、実際の音声の違いも判らず
実際の目に映って見えるはずのものと、視えるものの区別もつかなかった。
それを、無理やり押さえ込んで」
感じないようにしていた。
霊感が鋭すぎるが故に何でも視え、幼少は区別がつかなくて大変だったらしい。