第15章 強さ
ヒースクリフ「それに加え、どうしても光速であってもなお周囲の動きを見切れる集中力が必要になる。
それと同時にどう攻撃するか、つまり並列処理も出来なければいけない」
クレハ「なるほど…」
ケイト「考えながら最良の最短ルートを模索、か」
ヒースクリフ「ああ。
それほどに速かったし、AGIだけでは無理だ。
どこにどう来るかわからない、右を見ながら左を見る技能もまた必要になる。
俗にいう、『スーパータスカー』というものだ…
クレハ君は、消えた残像の先を追うことで見切って後ろへと跳んでかわしていたが
それだけでなく、周囲の状況を頭に入れておきながらという技能もまた必要になる。
じゃなければ、左へ消えた残像を追って左を見た瞬間に
大岩を死角にして、左後ろ側から攻撃が迫っていることなど気付く由もない」
ケイト「あー!最後のあれは大岩を陰に隠れてから瞬時に死角から詰め寄ってたんだ」
ヒースクリフ「気付いてなかったのかね?;」
ケイト「うん!
なんか気配っていうか、左頬に筆で触られるような『ピリッとした感触』がしたから死角となってる左下を向いたらいて
咄嗟に自分を殴りながら後ろへ跳んで避けたんだ」
ヒースクリフ「相変わらず卓越しているね;」
クレハ「その動きの変化を捉えつつ、周囲の状態を常に把握していなければいけない。
彼女の場合は、全身の感覚に加え
周囲の状況、状態の変化を全て事細かに認識しつつ、頭の中で常に思考し続けていたと…」
ヒースクリフ「ああ。
彼女の卓越した、その思考能力こそが肝なんだと私は思う。
霊感故に様々なものを感じ、読み取りつつも全て視えて聴こえた状態でもなお
それらを全て意識しつつも同時進行で物事を進めていた。
普通の人と変わらないようにするだけで手いっぱいだったそうだが
それでもなお、散々な目に遭ってきたようだがね。
普通なら、まず無理だろう…
普通の人であれば目の前の状況の変化に振り回されるので精一杯で、
あれほどたくさんのことを同時に思考して、霊感で視えるもの聞こえるもの等とも対処などは到底出来ない。
声を聞くだけであれほど読み取れるのは至難の業だろうし
ひどいことをされてた時だって感じる全てを処理しつつ、
心で感じる間もないほど早急に押し込めて、殺して、措置し続けてきたのだろうから」