第14章 出会い
40層へ辿り着いた後、私達は本部へ戻りました。
そして談話室へ移動してからソファーに寄りかかったケイトが、徐に口を開いた。
私が淹れた紅茶を飲まぬまま、机を挟んだ真向いのソファーに座って紅茶を飲んでいる私へ向けて。
ケイト「何で…
私の目に映るそれが、他の人には見えないんだろう。
霊感があるせいで、散々な目に遭った。
攻撃をしようとされた瞬間にその部位に痛みが走るから、そりゃ助けられた事も多いけど…
やっぱり、他の人にもあって欲しい」
クレハ「…そうですね(こと)
ですが、それは無理な話です」←紅茶を置く
ケイト「え?」
クレハ「誰も彼もが霊感を持っているわけではない。
それは、その人だけが持つ、特有の『生まれ持った力』です。
嘘だと言う人もいるでしょう。そう考える人も普通にいます。
ですが、そういう人がいるからこそ、別の学びを得ることができる。
考え方、捉え方、見え方、感じ方…
それらは全て、育った環境によって
自分という自我によって変わってくるものです。
なので、全員が全員を理解できるわけではないし、共感できるわけでもない。
それでも…
いえ、だからこそそれがまた別の刺激となって、違った成長を促すものとなる」
ケイト「!!……」
クレハ「自覚はあるようですね」
ケイト「…うん」
その彼女を尻目に、私は少し紅茶をすすり、再び机へおいてから話しだした。
クレハ「たとえ解り合えずとも、その在り方を認められなくても…
それが普通なんです。
誰しもにとって、各々の普通がある。
だから異常に見える部分は、それこそ多々ある。
消そうとするのが土台無理な話です」
ケイト「土台?」
クレハ「副詞で言う、始めからという言葉と同意義の言葉です」
ケイト「ああ。なるほど。
…そうだね。だからこそ、なんだよね」
クレハ「ええ。
それに、人というものは簡単には変わらぬもの。
変化を期待するだけ無駄だと思っていた方がいいですよ?」
ケイト「随分鋭いご指摘で;」
クレハ「『三つ子の魂百まで』、という言葉があるように
人の生まれ持った本質というものはそう簡単には変わりません」
ケイト「慈愛に満ちたクレハの性格もだねえ(微笑」ふっ
きっぱりと伝えると、ケイトから徐に笑いながら言われた。