第14章 出会い
彼女の目は深く沈んでおり、この上なく暗くくすんで陰りを差していた。
死んでいるようにも見えた。
再び心が…殺されようとしていることも……
あれほどの言葉を吐きかけるほどに、ひどく思い詰めていた。
言ってはいけない事と、普段のケイトなら絶対に言わない言葉を叫ぶほどに…
あの時、気付くべきだった。
彼女の精神が限界以上に追い詰められていて、悲鳴を上げていることを。
私に負荷をかけまいと、心配させまいと、気丈に大丈夫だと振る舞っていたことを。
本当は、やり場のない怒りをぶつけてしまったように感じて…
そのことに負い目を感じて、余計に押しつぶされかけている事も……
あの時…私がすべき行動は、無理やりにでも引き止めるべきだった。
それでも、整理する時間が必要だと思ってしまった。
彼女なら大丈夫だと、心のどこかで信じ切っていた。
もうあれは過去だから、どうあっても変わらないものだから…
越えてかなければいけないものだと、そう彼女が自分で自負しているほどだったから……
ケイト「私は…最低だ。
あんなこと、言うつもりなんてなかった」
クレハ「…私も、そんなつもりではありませんでした」
ケイト「!…え?」
クレハ「あの時…
あなたに、私が死ぬかもしれないと恐怖を抱かせるつもりはなかった。
あなたを泣かせるほど追い詰めるつもりなんてなかった」
ケイト「あ、あれは私のために!」
クレハ「ですがこれはまごうことなき事実です」
ケイト「…でも、おかげで私はっ……」
クレハ「今のあなたは…何を信じているんですか?」
ケイト「え?」
クレハ「死にたいと望み、周りを見れず、自分さえも冷静に捉えられない。
今のあなたは、何をもって…それを望んでいるのですか?」
その問いは、静かに響いた。
木々のざわめきが、暗闇の中に消えていった。
私達が初めて出会った、大きな木の根元で…
座り込んだままのケイトに、私は問うた。