第14章 出会い
『されて当然でしょ』
『居なくて当然なんだから』
『きもいんだよ』
『死ねばいいのに』
『消えろよ』
それ以外の言葉は…何一つとしてなかった。
友達がいる人だと、相談できる。父の件もあって、母や姉には相談できない。
母や姉には知り合いがいる、友達がいる。逃げ込める場所がある。
自分には…何もない。
誰も…居ない。
誰も、いるわけがない。
恐れ以外、父に抱いた感情はない。
所有物扱いしか、受けたことはない。
思い通りに動かなければ殺そうとされるだけ。殴って蹴られて、殺そうと全力でしてくるそれをどうこうする力もない。
仕事場で嫌な思いをすれば、怒って八つ当たりされるだけ。
自分の意思などいらない、存在する価値もない、誰も受け入れない、存在しない方がいい、消すことを誰もが望んでいる、ただの人形になってサンドバックにならないと殺される…
どちらにせよ、逃げ場もなく、友達もいない自分には避難する場所もない。
誰も受け入れてくれる人がいない。
父も家族も家も学校も、どこにも居場所なんてない。望まれてなんかはいない。
消える以外…自分を殺す以外、選択肢なんてない。
自分なんて…生きてていいわけがない。
その刷り込みは…いつまでも深く、根底にまで焼き付けられた。
ケイト「ごめん…ごめんっ;生きててごめん;
殺さなきゃいけないのに…生きてて、ごめんっ;;
やだっ;
いやだああああああああああああああああああ;」
クレハ「ケイト!;」
ケイト「かっ;はっ;
…ヒュー…ヒュー……」
その途端、息ができなくなった。
それから程なくしてめまいが脳を襲い、そのまま意識を手放した。
ケイト「やめ…てっ…;
お父さん…お母さんとお姉ちゃんを殺さないでッ;;
……たす…け……」
ぐらあっ
クレハ「ケイト!!」
ばたっ
最後に目に映ったのは、クレハの心配そうな顔…
それを最後に、真っ暗な意識へと沈んでいった。
彼女の伝わってきた思念はあまりにも濃密で…
人に対する恐怖、不信感、失望、絶望を、ありありと前面に押し出されていた。
何故、彼女がこのように育ってしまったのか…
その過去が、骨身に沁みた辛さが変えてしまったのだと嫌でも伝わってきた。
当時の果てのない哀しみと、絶望と共に……