第14章 出会い
その育った環境によって、養われてしまった。
不平や不満…鬱憤なども含めた全ての負の念を、全て押し殺すそれを……
それによって、『人を撲滅したい、存在そのものを消してしまいたい』という恨みや憎しみの念が非常に強いことを。
しかし皮肉なことに、ひどい目に遭ってきたからこそ
それと同じぐらい、その痛みや苦しみを味あわせたくないという『優しい想い』が常にあり
それがさらに自身を苦しませていた。
そしてさらに彼女は、傷付けたくないがために何も仕返しをしない、言い返しもしない。
それは父からの毎日のDVもあって、抵抗を赦されない環境で育ったからこそで、
だから周りは助長し、ひどいことを平然とし続けていられる。
彼女が抵抗をしないから、周囲は何も助けようとしないから、それよりも自分の方が大事だと笑ってられる人達しかいないから…
誰も、彼女の心に寄り添おうと、共感しようとする人などいないから。
結局は…
どちらかが『死ぬ』以外の逃げ道がないほどに切迫した状態へ追い込まれていることに、彼女自身が気付いてなかった。
そして追い込んだのは周囲、心の貧しい人しかいない現状。
だから私は…人を嫌いになった。
似たような目に、私もあったことがある。
DVには遭ったことはないが、その差別や偏見や迫害…
たとえ周囲が同じようなことをしていても気にしないくせ
彼女がそれをした途端に悪いことをした人だと、全員で責め立て言い続ける。
私の場合は日本人離れした見た目から、好き勝手に言われていた。
先祖返りを起こしたのかもしれないとのことで家族からはとても喜ばれていて、私も嬉しく感じていた。
が、所詮周囲はその気持ちをないがしろにするばかりの存在。
染めているだの、コンタクトをしているだの、好き勝手に言われ続けていた。
ただ単純に気に食わない、目についた、だからいじめたの言葉に尽きるのだろうが…
それと釣り合うほどのひどいことをやっていないのに、
自身はそのようなことをやったことはないと言えないのに、
それを平然とできる日本人に、日本人として産まれたことが
ひどく、嫌悪感を抱かせるものにしか過ぎなかった。