第14章 出会い
クレハ「早く帰りたいのですが」
ケイト「何事も経験だよ!
なくていいことなんてないんだからさ!」
クレハ「でも修業が」
ケイト「修業相手なら私がいる!
一緒に頑張ろう」微笑
目を細めながら、嬉しそうに笑う彼女は…
とても綺麗で、木漏れ日が差し込んでいたのもあって…
本当に…眩しく、太陽のように感じた。
そう笑いかけながら手を伸ばされたあの時
私は、彼女と一緒に走って行くことに決めた。
この人となら…そう思えた。
実際、何でも楽しめた。どんな結果に陥っても、たとえそれが失敗で何度重なっても…全てが、輝いて見えた。
リアルでの世界よりも、とても美しく…綺麗に見えた。
それは彼女の人柄あってのものだと、後になって気付いた。
とても素直で、純真で、純粋で、無垢で、裏表がなくて…どこか抜けていて……
どんな言葉でも、相手から言われた言葉なら鵜呑みにする。
簡単に傷付き、受け流すこともできない不器用な人…
でも…一緒に居るだけで、とても安心した。
そんな時、常に暗影を落としていたことを知ったのは…
情報屋のアルゴに、彼女の過去を尋ねた時だった。
きっかけは違和感を感じたから…
そしてそれは、一緒に過ごしている時
ひどい暴言を吐かれ、普通の人なら怒るようなことをされた時だった。
どんなにひどい目に遭っても、それは喜ばしいことなのだと
誰もがそれを喜んで、幸せを感じる事柄なのだから
自分もまた嬉しく感じない方がおかしいのだと、そう言いながら笑っていた。
自分を殺していたこと、どうせ自分など…
そうすることを、誰もが喜ぶものだと思っていたらしい。
その環境によって、養われてしまった。
不平や不満…鬱憤なども含めた全ての負の念を、全て押し殺すそれを……
それによって、『人を撲滅したい、存在そのものを消してしまいたい』という恨みや憎しみの念が非常に強いことを。