第13章 生きて
クレハ「信じて、大丈夫だと。
手を伸ばせば、きっと届く。
触れ合った時間も、ぶつかり合った時間も、全て…ここにあるから」
胸に手を当てながら言い放った。
右手で頬に触れたまま、彼女の頬を伝う涙を指でぬぐいながら…
クレハ「あなたが駆けつけなくても大丈夫。
人の命を、そんなに背負わなくていい。潰れるまで追い込まなくていい。
あなたの人生を、幸福を求めてもいいの。
人の幸せ以外に、その前に…あなたの幸せを、見ないといけないものを見て」
ケイト「っぅ…;」ぎゅうっ
ぼろぼろと涙を零す中、私へと抱き着いて来た。
そう言ってくれる人が初めてだと、それが嬉しいのだと
必死に、伝えようとしているようにも見えた。
クレハ「私達も、団員の仲間も…そんなに、やわじゃない。
あなたにたくさん鍛えられた。
あなたから鍛えられた人を通じて、全員が強くなっていっている。
だから、もういいの(ぎゅうっ!)
誰かを護ろうと、必死にならなくていい。
自分のやりたいことを見て。
人ばかりではなく、自分と向かい合って。
人の気持ちに依存しなくていい。気を使い過ぎなくていい。
自分の望んだままに…幸せを求めて、生きていいの」
ケイト「でも!そうしたら誰が」
クレハ「余裕がある時でいい」
ケイト「でも…」
クレハ「それはただのエゴ。
それを気負って、苦しんで、死にそうになったって、誰も嬉しくなんかない。
何より、あなたがそうなることを誰も望んでいない!!
自分にしか感じられない幸せ、生きていく上での喜び、
何をして、何を成し遂げたいのか、
自分の夢は、何なのか…
何をして、どう生きていきたいのか……」
ケイト「どう…って」汗
クレハ「どういう行動をとろうと、これだけははっきりしている。
あなたが昔諦めたものを追っていい。
それでたとえ、あなたがどれだけ変わろうとも…
私は、あなたのことが大好きです^^」
ケイト「っ…」ぼろぼろ
その言葉に、再び彼女は泣いた。
変わろうとしても、足かせになっている過去に、今を形作っている過去に、変わらない過去に…
今もなおあがき、苦しみ続けている。
だから少しでもいい…
前を向いて、自分らしく生きて欲しい。