第13章 生きて
クレハ「いつもいつも、人を護れるよう必ず余力を残している。
どんな時でも瞬時に駆けつけるために、助けるために…
常に力を残して、その時に動き続けられるようにしている。
無意識に、気付かぬ内に…
あなたは一度たりとも、動けなくなるほど全力を出してはいない」
ケイト「!…そう言われてみれば…」
クレハ「万が一連絡があれば、瞬時にあなたは駆けつけている。
護ろうとする時の力と、今修業で使っている力は、あまりにも違い過ぎる。
護ろうとする時の力は、全てを吹き飛ばすぐらいのものだった。何ものをも寄せ付けない圧倒感があった。
それと引き換え、何ですか?今使っている力は。
その護ろうとした時のそれよりも、あまりにも小さ過ぎる」
ケイト「俯)…
だって…傷付けたくは」
クレハ「護られるだけの存在ですか?」
ケイト「え?」顔を上げる
クレハ「あなたの中にいる私は、そんなに弱い存在ですか?
違うでしょう…
私達なら、大丈夫。逃げるぐらい、誰にだってできる!
たとえ逃げ切れなくとも、対処ぐらいできます。
その術を身に付けるための修業なんでしょう?」
ケイト「…でも…
お前達を傷付けるのが、一番…怖いんだよ」ぎゅうっ
クレハ「あなたが今更何であろうが、それで拒絶したりはしません。
あなたの本質は、よく知っている。
どれだけ優しいかも、その行動の一つ一つが、大事に想うからこそだということも…」
ケイト「ッ……;」涙
クレハ「だから…信じて、全力を出して。いいんですよ…
全力を振り絞っても、その力はきっと…私達を傷付けない。
その心は、行動は、私達を傷付けない。
それでどのような結果になろうが、それで何だと言われようが…
私は、私達は、それで態度を変えたりなどしません」
そう頬に手を触れながら、笑いかけた。
すると…とても安心したような、泣きそうな、顔を見せた。
自分も、周りも、この世界も…信じていいのだと、教えたかった。
あなたが教えてくれた、与えてくれた温かさを、救いを…
私も、与えたかった。