第13章 生きて
相手の動きに合わせ、縦横無尽、臨機応変に動き続ける。
そして追い詰めると同時に仕留める。順突きで。
それが、奥義・紅葉。
どんな動きにも呼吸はある。
それに合わせ、重ね、僅かな予備動作でから読み取れるようになるまで非常に時間がかかった。
おそらく、彼女の場合は年季が違う分、余計に敏感に感じ取っているのだろう。
ケイトの場合は自ら動かず、相手の動きをじっと見つめて全く微動だにしない。
気持ち悪いと言えばそれまでだが、それ以上に不気味さを醸し出していたのは…僅か一瞬で詰め寄ると同時に、何をされたか解らないほどの速度で倒されていたからだ。
圧倒される、と言った方が正しいのかもしれない。
常に最小限の動きで、機敏に動き続けている。
それは日常生活でも浸かっていて、瞬時に相手の邪魔にならないよう避ける際にも使っている。
修業の中、私はあることに気付いた。
人に『本当の意味で生きろ』という割に…
彼女が、そうではないことに……
クレハ「…」じー
ケイト「?
どうした?クレハ」きょとん
クレハ「…あなた、先程から本気を全く出してないようにも見えますが?」
ケイト「へ?」驚
目を丸くする彼女に、私はその抱いた疑念を確信に変えた。
おそらく、彼女自身も気付いていないのだと…
その過去の経験により沁み付いた『恐怖』は
護ろうと必死になれる『想い』は、その経験があったからこそで…
だから、全力を一撃に込めたことなどないし、本気など出せた試しなどない。
護ろうとした時以外では……