第12章 学び
死刑に等しい不法行為を、彼等はやった。
何人もの命を、自分勝手な快楽のために傷付け、殺し続けた。
しかし、だからと言って…
その死刑を執行するのは、結局は『人』なんだ。
どれだけ正当化しようとも、それはやはりしてはいけない行為だ。
その『人を殺した』行為から得る苦しみは、永遠に向き合い続けていかなければいけない。
今後に悪夢で出てこようとも、これから死ぬはずだっただろう人を救うための唯一の方法だった。
十数人とはいえ、彼等によって奪われた命は帰っては来ない。
人という命を、その尊さを噛み締めて…
それを痛むことができるからこその死刑執行人だと、俺は思う。
一生忘れない。忘れてはいけない。
人という命の重さは、誰もが平等だ。
死んだら帰ってこないのもまた、同じなんだ。
だから…人を傷付けたり殺す行為の『愚かさ』を
目先の出来事にとらわれて、怒りのままなどと衝動的にそうする『浅はかさ』を
決して、繰り返させてはいけない。
誰かを傷付けることを、当たり前にしてはいけない。
自分が自分でいるために、周囲をないがしろにしてはいけない。
ないがしろにしていい存在ではない。
人が人として生きるために必要なのは…そういう慈しみ、思い遣る心だ。
それを生涯を懸けて伝えていこうと、俺はこの日に思った。
誰が誰を殺したかはわからない。
それでもそれによって一つの命が消えた。
それを背負わなくてはいけない。
その命の重さを、生涯をかけて伝え続けなくてはいけない。
それが死刑執行人であり、その義務なのだと思った。