第12章 学び
悪夢にうなされた。もううんざりだ。
死にたいという感情しか湧かなかった。
攻撃してこない非アクティブモンスターではなく
自動で攻撃してくるアクティブモンスターに遭遇することを願いつつ歩き続けていた。
その当時、マスター曰く材料集めに来ていたらしい。
そんな折、死のうとしているのが見えて…俺に駆け寄ったそうだ。
モンスターに攻撃されるはずだったそれを止められた俺は
自身の持つ初期装備の剣で、自分を刺した。
いや…刺そうとした。
何故その表現なのかというと…
それを、マスターから抱き締められたことで止めたからだ。
マスターに突き刺さっているのに、それを一切気にしていなかった。
グレイク「何で…どうしてっ;」
自然と声が出る中、涙が滲んだ。
その毅然と止めようとする態度に、護ろうとする態度に…
その全てが、俺にとって初めての温もりで…俺は泣きかけた。
ケイト「お前が…大事だからだ」
グレイク「でも…モンスターに、さっきから攻撃されて…」ぷるぷる
ケイト「お前の方が大事に決まってんだろうが!!」くわっ!
グレイク「っ!!;」じわっ
余計に涙が滲んだ。
自然と落ちそうになるほど、目に溜まっていた。
『気色悪い』
『死ねばいいのに』
『気持ち悪っ』
『何であの人だけ違うの?』
『化け物だ!』
『やっつけろ!!』
散々な目にしか、遭ったことはなかった。
誰も、護ってくれなかった。
大人でさえも……
自分が悪いのだと、責め立てるばかりだった。
いじめられる方が悪いと、厄介ごとを起こすなと言われた。
後にマスターもまた、そういった目に遭っていたことを知った。
だからこそ…
当時、荒んでいた俺の心にまで響いたんだと、理解した。
その当時、俺の中に占めていた想いは…
「生きて…いいのかな?」
「望んでも…いいのかな?」
ぽとっ
ふと、雫が落ちた。
溢れてきた想いが、涙が、自然と落ちていった。