第2章 デスゲーム
迷宮から出て、新しい経験ばかりに私は素直に喜んでいた。
「……なんで、こんなことをしているの?」
ケイト「?そりゃあ…
笑って、欲しいから//」ぼそっ
彼女の最初の言葉は、その質問だった。
それに私は、そっぽを向きながら呟いた。照れ臭くて、目を合わせられなかった。
「!!え?」
ケイト「私はさ…ここで、絶望して生きて欲しくなんかない。
絶望して、何もしないで、閉じこもって…そんなの、生きてるなんて言えないだろう?」
「…でも、外に出れば危険はたくさんあって…死ぬことだって」
ケイト「現実と、何が違う?
現実でも、人は死ぬぞ」
「!」
ケイト「…要するに、気の持ちようでこの世界はどんな色にも見える。
私はさ…現実に絶望してた。
ろくな人間に会えなくて、苦しんで、父に殺されかけて…ゲームでも同じだって思ってた。
実際に運が無かったのか、縁が無かったのか…そういう経験ばかりが全てで、それが普通で、日常で…
諦めるしかなかった」
呟くように、少しずつ紡いでいく思いに、彼女は黙って聴いてくれていた。
真っ直ぐに、私を見つめて…
それが…ちゃんと、見てくれているように感じた。
私はそれが、凄く嬉しかった。
ケイト「絶望ってのは、嫌ってほど知ってる。嫌ってほど味わってきた。誰にも助けてもらえない苦しみも、ずっとあった。助けを求めても無駄だった場所で育ったから…
でも、話さないで分かってもらえるわけなんかなかったんだ。誰もが言ってもらわなきゃわかんないんだから。
私はさ……
あの絶望を、苦しみを、たった一人で抱え込んで欲しくなんかはないんだ。
それは、痛いほどわかるから…力になりたい。
笑ってられるように、「ああ、今生きてて幸せだ」って感じられるように…
それだけなんだ。
見返りは…その絶望を経た上で、それをも一緒に笑い飛ばせる。
ちゃんと、生きてるって感じて笑う…心からの笑顔なんだ。
それがどれだけ難しいか、よく解ってるから」
気付けば、涙が私の目に滲んでいた。
それを振り払う中、黙って聴いてくれてたことが嬉しくて
隣を見ながら笑いかけると…
彼女は、泣いていた。