第11章 別れ
告別式から3日後の、8月3日…
私は血盟騎士団本部に、情報屋であるアルゴを呼び出した。
止まない雨が激しく窓を叩き続ける中、私の胸中は妙に荒々しかった。
ヒースクリフ「…」
机に肘をついたまま、私は一人考え込んでいた。
何とか、整理をしようと…
数か月前の15層ボス戦、攻撃力だけは75層ボス並で紙防御のボスがいた。
その時、ケイトは他のプレイヤーを庇い、ボスのスキル攻撃を受けた。
にもかかわらず、セリオン防具一式は耐えきった。
彼女を護り切り、HPが3分の1まで減る程度にまで押さえ込んだ。
その激しいノックバックからか、気を失っていた。
その彼女が何故か可愛く、愛おしく感じて…
本部で寝かせていたが、起きてから頬にキスをした。
すると、真っ赤になるや否や、水の上を慌ただしく走り続けていた。
私が見てきた人の中では…
それは、あまりにも純粋で…純朴で、素直で……
ガタイよりも見た目よりも何よりも…その美しさに、私は惹かれていた。
何者であっても、何があろうとも汚されない、その清らかな精神に
頑固ともとれるような、一途で真っ直ぐな…ひたむきさに。
気付けば私は惚れていたのかもしれない。
いや、深く興味を抱いていると言った方が正しいか。
なんにせよ、彼女がこんな所で死ぬとは考えられない。
もしも何かあったとしても、臨機応変に立ち回るだろう。
何より、その方法を教えたのは、彼女本人なのだから…
まずは視界を拡げて見落とさず、要点を捉えつつ最善の方法を画策、動いて実行。等々と…
彼女の性格は、よく知っている。
彼女のことだ、きっと何かわけがあって隠れているのかもしれない。
何かしらの方法を取って、そう見せているのかもしれない。
いや、そうあって欲しいだけなのかもしれない。
だが…「真相を知りたい」。
その想いばかりが、胸の内を占めていた。
そして今…
情報屋のアルゴが、部屋へと入ってきた。