第11章 別れ
昔、出会った時に話していた言葉が自然と脳裏をよぎった。
ケイト「じゃじゃーん!
材料さえそろえば、こんなものだって作れるんだ!^^//♪」キラキラ
アスナ「え?…ビーフシチュー!!?」驚
ケイト「へへへっ!^^」
食べてみると、やはりそれはおいしくて…どこか温かくて…
とても安心した。
自然と、笑みが零れ落ちた。
そんな私に、ケイトちゃんはとても嬉しそうに笑っていた。
ケイト「なあ、アスナ。知ってるか?
こんなものだって作れるんだ!
頑張れば…諦めないでいれば、必ずどこかへ繋がってる。
すぐ報われなくても…必ず、報われる日が来る!
でも、ずっと苦しんでちゃ楽しめないだろ?
せっかく、今ここに居るのに…もったいないだろ?
だからさ…一緒に楽しもう!^^」
アスナ「…うん!//」頷
差し伸べられた手を取ったあの瞬間
本当に…心から救われた。
あの時、決めたの。
真っ直ぐに、前を向いて歩いて行こうって…
目先だけじゃなくて、ちゃんと生きようって……
それを教えてくれた、見える世界を広げてくれた…大事な、大事な人。
その人が…今は……っ;
ぽとっ
メッセージに、雫が落ちる。
視界がぼやけて、白ずんで…透明な雫が重なっていた。
アスナ「ひっく;…うっ;
あああああああああああああっ;;」
自ずとしゃっくりが上がり、キリト君の胸の中に飛び込んで思いっきり泣いた。
あの手の温もりが、恋しかった。
あなたといれるだけで、何もいらなかった。
あんなに楽しい時間は…ここに来て、初めてだったから。
そんなものも味わえるんだってことを教えてくれた、大切な人が…
死んだなんて、認めたくなかった。
でも…そのメッセージを見た瞬間、その死を自覚してしまった。
返信しようにもできない、フレンドにもいない。
もう、話す手段さえもない。
そんな抑え切れない想いに泣きじゃくる中、ヒースクリフ団長は険しい顔でうつむいていた。
泣きそうになるのを、堪えているように見えた。
そしてすぐ隣では、クラインさんが大泣きしていた。
私に負けないぐらいの大声を上げて…
気付くと空は曇り空で、空も泣いているかのように大雨が降り続いた。
3日ほど、それは降りやむことはなかった。