第9章 すれ違い
後で聞いた所
キリトが言うには、疾走についてはケイトは取っていない。
つまり、跳躍があっても単純な走りについては上だから必死に走ったとのことだ。
ただ、跳躍を使われたら追いつく間もなくなるほどのものだから、一か八かの賭けだったらしいが…
結果的に、おかげで間に合った。
キリト「ケイト!」
アスナ「ダメだよ…死んだら、もう一緒に過ごせないんだよ?;;
一緒に、バカみたいなことして、笑って、喧嘩して…そんな楽しかった想い出も、もう築けなくなっちゃうんだよ。
嫌だよ…そんなの。嫌だ」
その涙声が、やけに心を突いた。
アスナ「…お願い、死なないで」
跳び付かれてその場へしゃがむケイトへ、しがみ付いたままの涙ながらの懇願に
ケイトは戸惑いの声を上げた。
ケイト「何でだよ…
何で、止めようとするんだよ。
いない方がいいんだろ?消えた方がよかったんだろ?死んでた方がいいって笑ってたじゃんか。来たら殺すって言ってたじゃんか。
最初は、ちゃんとあったんだ。怒りも、涙も、苦しみも…
でも、それを持ってる方がおかしいって顔して…ずっと、そういうこと続けてくるんだ。
殺したかった。全部、殺してしまいたかった。この世も丸ごと、全部消したかった…;
でも…違う奴等もいるって、無理やり押し殺した。殺したくなかった。消したくなかった。
される痛みがわかるから、それを与えたくなんかなかった…;;」
震える声で、涙を流しながら呟いていた。
震えながら泣きじゃくっていた。
誰にも頼れないまま大きくなった結果、頼ることを忘れてしまった。
その方法がわからないまま大きくなったから余計に…修正が効かなくなったんだろうと、俺は思った。