第9章 すれ違い
路地裏で再会した時…
何故かケイトを…どこか、遠くに感じた。
クライン「あのよ、ケイト…その」
ケイト「どうせもてあそんでたんでしょ?」
何か言おうとした矢先に言われた声に、血の気が引いていく感覚がした。
冷たい感覚が、身体を支配していった。
いつになく冷たい声が、やけに耳に響いた。
クライン「…え?」
言葉の後の沈黙が、やけに長く感じた。
我に返って呟く中、ケイトは答えた。
ケイト「自分のことを好きになる奴なんて、いるわけないもんな。
好きだって言われて、自分も同じで…」ぽとっ
ぷるぷる
涙ながらに、震えながら…
ケイト「そういう気持ちをもてあそんで、嬉しく感じたことも、全部…嘘だったんだよな?」
クライン「ちっちげえよ!
言い訳みてえに聞こえるかもしれねえけど、俺は…
俺は!お前のことが!」
ケイト「知らないよそんなの!」だっ!
クライン「いっ!待てって!!」だっ!
いきなり路地裏の先へ、テラスへと走り出したケイトに
俺は必死に追いすがった。
一方、その頃キリト達は…
アスナ「キリト君、私達も!」
キリト「…」
アスナ「キリト君?」
キリト「…ケイト、本気じゃないのかもしれない」
アスナ「え?」
キリト「考えてもみろ。本気なら、一瞬でついている。
迷ってるんだ。
まだ、心の中で葛藤しているんだよ。きっと」
アスナ「はっ!)なら」
キリト「ああ。
クラインでも追いつけるはずだ。
でも念のために先回りしよう!行先は解ってる!」だっ
アスナ「ええ!」だっ
別方向から先回りすることにしたようだった。
でも俺は、そんなことに気付く余裕もなくケイトを追いかけるのにただただ必死だった。