第9章 すれ違い
キリト「相変わらず早いな;」
クライン「なあキリト、頼む!;ケイトとの仲を取り持ってくれ!!;
仲直りしてえのにできねえなんて嫌だぜ俺は!!」
キリト「じゃあ浮気癖を治すんだな」
クライン「ついついいいカッコしようとしちまうんだよ!;
ケイトだって困ってる奴がいたら即座に助けようとするだろ!?
それって後々男から褒められてえから、モテてえからとかそういうんじゃねえのかよ;」
キリト「あのなあ。ケイトはそういうのとは真逆なんだよ」溜息
アスナ「クラインさん。
ケイトちゃんは父親からDVを受け続けていて、それに加えていじめまで受け続いてきたのよ。誰にも守られないままね。
その時に、こう刷り込まれたの。「自分さえいなければいい、自分だけが殺さないといけない存在」だって。
だから、どうしても負担をかけるよりはって、他の人の為に無茶しかしないの。
自分がいるだけで嫌な思いをさせるってことが根底に、前提にケイトちゃんの中にはあるの。
だからそうしないといけないって、その長年の癖が体に染みついてるのよ」
クライン「んー。そりゃあ…そうかもしれねえけど;」
キリト「本人は気に入られたくてやってるわけじゃない。
助けたいから、助けられない痛みを知ってるから必死に動いてる。
出来ることを精一杯やって、後悔しないように…
そういう奴だから惚れたんじゃないのか?
人の痛みには人一倍敏感で、感受性がやけに強くて、ひどい傷や痛みまで背負い込むような奴だから」
クライン「…ああ、そうだよ。
あいつが…泣きそうな顔してんのを見てるの、やなんだよ。生命の碑があるだろ?
その墓前の前で、あいつは泣いてたんだ。
始めたばかりの時、どうして離れちまったんだって…後悔して、泣いてた。もっと早くに戻ってれば、救えた命もあったんじゃねえのかってよ…」
『!!』
そんなことがあった事自体、俺達は知らなかった。