第2章 デスゲーム
心の底から、真っ直ぐ、ありのままでぶつかり合える存在。
それが、友達――
そう教えてくれた母は、殺された。
人間は欲深で、理想のためなら何でもやる。
でも、その中でも一番赦せないのは…
殺しをした行動と向き合おうともせず、自分たちさえ平和ならその事実も責任も全てないがしろにして
へらへら笑って、悪いことをしたことが無いように振る舞うことだ。
大事な人を殺されたこともない人間が、その時々の気分で殺す。
謝ろうともせず、両手も合わせず、墓も作らず、責任も取らず、虫を殺した後のように普通に笑っていて、繰り返させないようにしようともしない。
寄り添う人間は、一人としていない。理解しようとする人間もいない。
話しかけようとする人間もいない。
理解せず、行動のみを見つめ、それだけでこうだと決めつけ、本質を見つめようともしないで、悪だと罵り続けてくる。
話しかけようとした時、何度も言われた。
「話しかけてくんじゃねえ!」
「バケモノ!」
「きもいんだよ!」
「死ね!」
「明日学校来たら殺すからな!」
「触んなよ!」
「TKエキス!」
毎日続いたそれらのいじめに、私の人生は変わった。
家族内でもいつあるかわからない、父からの八つ当たり、暴言と暴力…
それらも相まって、話しかけるのをあきらめた。
何年も続いたそれらは
心に十年経った今でもなお深く刻み込まれた傷と共に、幾多の弊害を残していた……
人の物に触れられない、触れるだけで気分が悪くなる、話しかけようとしても声が出ない、気を配って当たり前、助けて当たり前、死ぬ以外価値がない、傷付けられて当然、殺されかけて当然、
死なないといけない存在なのに生きてるから悪い、だからそういう目に遭う、
長年に渡ったDVやいじめによって、そういった刷り込みがこびりついた。
感情が蘇るまで、心が戻るまで、
傷付けられてもそれが当然だと思う意思が変だと気付くまで、10年以上要した。