第47章 神武器
その瞬間、どこかを飛行しているような感覚が身を襲った。
風を切るような感覚に加え、重力の慣性による何とも言えない浮遊感。
そんな中、まるで木々の中を現在進行形で飛んでいるようにも感じた。
そして見覚えのある場所、フィールドボスのいた地点に生える大きな木から
ほど近い場所にある大岩があった方向を目印にして進んでいった。
進んでいった先に直径30mほどの大きな湖があった。
湖の中に潜る感覚がし、そして開けた視界の中には新たなダンジョンらしき建物があった。
そこで映像は途切れ、伝わってくる感覚もまた同時に途絶えた。
ケイト「…そこに行けばいいんだね?」
「…」
その問いかけに、ボスは静かに頷いた。
ケイト「わかった。いってくるよ」くるっ
そして背を向けた直後、私にもはっきりと聞こえた。
「ぐるるる」気を付けて
ケイト「うん!
ありがとう、お母さん^^」微笑
振り返りながら言う声の中、唸り声のはずが優しい声で「気を付けて」と確かに聞こえたのです。
霊感は伝染しないはずなのですが…
後にケイトに聞いた所
「皆、一人にしかない独自のAIを持っている。
カーディナルシステムがクエスト発生と受け取って、何らかの働きかけをしてくれたのかも」とのことでした。
ケイトはいつも聞こえているし聞き取れるようですが、その差に愕然とするばかりでした。
意思や性格など、モンスターにはないものだとばかり思っていたのに…
その常識が、壊された瞬間でもありました。
ケイト「ミーすけ、頼むな」
ミーすけ「ぐう♪」すり
ケイト「コロは妊婦さんなんだから、ミーすけのお母さんと一緒に居るんだよ?」
コロ「がう♪」
ケイト「?クレハー、行くぞー!」
クレハ「はっ)ええ!」
そうして辿り着いた先にはモンスターはおらず、神聖な雰囲気に満ち満ちていました。
ただ、そこには湖の底でありながら空気があり、破邪の神聖な力をひしひしと感じたのです。