第45章 お泊り・4日目
ユウキは既に本格的にリハビリを続けているようで、ランは明日から同じステージに立てるという。
ただそれだけのことに…漕ぎ付けるまでが非常に長かった。
必死に頑張った時間が報われたように感じたからこその嬉し泣きなのでしょう。
胸を張っていい。誇っていい。堂々とあなたらしくいて欲しい。
助けられたことを大いに喜ぶ自分を、大切にして欲しい。
両目から涙を零しておーいおいおいと泣きじゃくるケイトを見て、私は微笑むばかりでした。
嬉しい事柄だと解るのは、ケイトの泣き叫び声からです。
哀しい場合だとそれはもう痛切過ぎて聴いてるだけで見ていられなくなるぐらいですし。
それぐらい、気の置けない関係になった。
スリーピングナイツとも、キリト達とも、たくさんの人達と…繋がり合うことができた。
時間だけでなく、心が。
気付いていますか?ケイト…
「心をありがとう」とあなたは以前(1098ページ参照)言ったけれど
「人間など」と諦めていた私に、あなたが最初に心をくれたことを。
私の中で、初めての希望となってくれたことを…
あなたがいるからこそ、救われた人もいるのだということに……
ケイト、私があなたに惚れた一番の理由は…
人の外見や関わることの利益に一切とらわれず、その人の本質と向き合おうとする所なのです。
下心も悪巧みもない。あるのはただ、助けたいという良心のみ。
その純粋さから、ひたむきに接してくれたから…私は心から救われた。
欲も無く、一見すれば損が多くも見えるでしょう。
でも…だからこそ、そんなあなたの為にと動く人がいる。
気付けば突き動かされていて、その本質を知らず受け入れぬ人達ばかりだったでしょうけど…
今では、こんなに慕う人達に囲まれている。
初めての経験のようで、強張っていたけれど…大分と笑えるようになったのですよ?
最初こそ恐怖を全く感じない体を装えてさえいなかったのに、今では恐怖など微塵も感じさせてはいない。
無理に笑みを浮かべて「大丈夫」と嘘を重ねられることは、最近ではめっきり減った。
私は…そのことが、成長が、変化が…とても嬉しくて堪らないんです。
だからケイト…報われない時間ばかりだったかもしれない。
それでも今は、今だけは違うから。
思いっきり自分というものを出して生きて――