第44章 お泊り・3日目
それから…スケートで共に滑りながら伝えました。
それまでの想いを、あなたと出会うまでの想いを。
ケイト…私は、母の葬式で人に失望しました。
金に目が眩み、引き取ろうとする方などが後を絶たず、私はお爺様の後ろで震えるばかりでした。
その日の晩、ベッドの中で泣き震えながら…その死を嘆くでもなく、平然と笑って欲に眩んだ眼を向ける人間という欲深さに失望した。
人間などと、強く想った。
小中学校は通信教育でクリアした。それから高校大学と学校に行った。
でも、それは変わらなかった。
田舎だと馬鹿にする者、金色の髪に緑色の瞳がおかしいと気味悪がる者、差別する者、金に群がろうとする者、おこぼれに預かろうとする者…ろくな人がいませんでした。
まあ、手加減したと宣う男性を相手に完膚なきまでに言い訳の立たないほど一方的にぶちのめしたりもしていたのですが…
男の先生相手でも変わらずぶちのめし、立つ瀬を無くしたそれらは嫌な噂を流すだけ。
私に正面からぶつかってくる人など、一人としていませんでした。
ケイトがされていたように、ろくに本人の言葉を聞こうともせずに周囲からの偏見をひた信じ、向き合おうともされなかった。
それらの時間はただ、理解者などできないということ。
ケイト…私の夢は、母に…お母様に、あなたのような穢れない心で向き合ってくれる親友を紹介することだったんです。
もう心配しなくても大丈夫だと、伝えたかった。
私のことを心から愛してくれたお母様に、安心して欲しかったから。
だから…高校にも大学にも、その後もまた外国にまで…
通信教育ではなく、見聞を広める為という名目で励んできたのです。
あなたのような人に会うことが、私にとって24年間想い続けてきた夢でした。
あなたのような人に会いたかった。互いに自然体のままぶつかり合える人が欲しかった。
小さい頃から、友達ができたらと夢見ていたんです。
だから…ケイト…
私と結婚してくれて、愛してくれて、惚れてくれて…本当に、感謝に堪えません。