第42章 お泊り・1日目
シノン「そもそも誰にだって悪い所なんてあるでしょ?苦手な所だってあるでしょ?
それを一人に対してのみ、受け入れようともしないで周りと同調してグルになってその一人を一方的に貶めてんじゃない。
人に言われても否定も反抗もしようとしない大人しーい人を選んで、一方的に言い続ける。
傷を与え続けて過去のそれを引き合いに出して正当化する。他の人が同じミスをしても何も言わないのにね。
おまけに、その過去の傷とやらとケイトにやり続けていることは明らかに釣り合わないし、ケイトはそれ以上傷を増やさない為に距離を取ってるのにも拘らず。
それを「いじめ」っていうのよ。
している側はストレス発散にもなってさぞかし楽しいんでしょうね。
やってて辛いって思うのなら最初からやらないでしょうし。皆で共感してればさぞ嬉しかったでしょうね。
でもやられてる側は半端ない負荷がかかってるから。
おまけに、家では気が休まらない日々が普通にあるから。日常だって思わなきゃ狂うぐらいの。
それでありながらそれを聞こうともせずにあんたが追い詰めて追い詰めて、家でも学校でも落ち着かないようになった。
そんなに気を使わなくていいのにって思うぐらい気を使いまくってた。
あんたらが今もやってる、そういう悪いことやる人なんだよって周囲に必死に言い聞かせる点も含めてね。
だから人と距離を取った。負担をかけたくないから。
でもって人に話しかけられなければ話さないようになった。話しかけて辛い思いをするばかりだったからと、対面するだけで恐怖心しかなかったから。
おまけに人のことを悪く言ったりもしなかった。たとえ愚痴ったとしても名前は絶対にあげない。誰かを特定されて貶されるなんて逆だったら嫌だから。
それほどのことをケイトはごく自然とやってたわよ?
知り合ってまだ1週間と少ししか経ってないけど、それぐらいはわかってる」
そう言葉が響く中、私は嬉しくて目を細めるばかりでした。
ケイトもどうやら安心しているようですね。
もう震えも止まって、腕の中でじっとしていますし。