第42章 お泊り・1日目
クレハ「あなたが何を思って不幸となったか、そう感じたかは知りません。
その経験がない私達には、確かにわかりません。
ですが、人が不幸な時にそれを自ら率先してなおも不幸を与え続けて苦しむ様を見て嘲笑っていたようなあなたは、いずれにせよ人という道を逸脱した「犯罪者」です。
人に不幸を与えて、幸せを感じるなど…ようやく掴んだ幸せを妬み奪おうとする上、正当な行為とのたまうなど…
ふざけるな。恥を知りなさい。
胸を張れる生き方をしろ等とは、私は言いません。
人によって価値観は違い、何を誇るかという基準も違いますから。
ですが、人として最低の行為は自らの価値を貶めます。
彼女はそういった痛みの中でもそれを与えようとはしなかった。同じことをやり返そうなどとはしなかった。
距離を取り、自ら話しかけることを無くし、関わり合いを最低限にし、一人でも頑張っていけるよう努力した。
不用意に関わりやり返せば、それが後に人へ大きな傷を残し、人生において障害にもなり得ることを身をもって知っているからこそです!
そういうされる側の「人の気持ち」にもなれないあなた方に、彼女のことを語る資格は毛頭としてありません!!
あなた方に見えているのは、「自分の都合」という色眼鏡だけ。
都合よく自分の行為を言い換えて正当化して、ろくに知らぬ相手を貶して周囲と共に笑うちっぽけな存在です。
それは人として、最も愚かな在り方。
人にとって何が不幸になり得るか常に考えて、父親と同じような存在になるまいと踏ん張り続けた彼女とは、人の為に自らを殺したケイトとは天と地ほどの差があります!!
あなたには…ケイトからすれば圧倒的に劣っています。
人の為に耐え忍ぶ力だけではない。人の為にお節介となれど助けようとする姿勢、生き様。
何をとっても、圧倒的にです!」
聞くしか出来ない男性は気が食わなそうに睨み、その中でも私は言葉を緩めるつもりはありませんでした。
今ここで伝えなければ、きっと釈放された後もなお悪いとさえ思わず続けるばかりだろうから。
腕の中で今も泣き震えているケイトを抱き締めながら、その力を強めながら言葉を発しました。
私の知るケイトを、いじめっ子がやったことによる弊害を伝える為に。