第7章 涙と決意
ケイト「辛い?辛いって…何が?」きょとん
その言葉に、ケイトちゃんは静かに首を傾げた。
意味が解らないと、はっきりと言っていた。
ケイトちゃんが先ほど自身の手を見つめていた時、私は解った。
手に染み付いた、母と姉と自身の血が交錯する。
その血が、手に触れた光景が脳裏に浮かぶ。
遺ったものは…
血にまみれた手と、財産と土地、
そして、一生治らない『深い傷』だった……
その上、財産目当て、なおかつ八つ当たりとして殺してきた父が養育権まで主張し
母が残していた日記や録音データなどの証拠によって、生まれる前からされ続けていたことだと解ったことから
それを悪い行為だと認識すること自体が困難、悪いことをしていないとの主張、再び何度でも繰り返すだろうとの判断により
父の死刑が確定され
当時から12年後、ケイトちゃんが22歳になった時に執行された。
天涯孤独となって、益々その思いは募っていった。
それが間違っていないのだと、それを否定しない時間があまりにも長すぎて…
今更修正が効かないほどに、刻み込まれてしまった。
それがおかしいことだと気付かないまま……
いえ、それを教えてしまえば…
それまでのあれは、一体何だったんだとなるはず。
生きるための、耐えるための手段がそれだけだった。
それしか、たった一人で頑張って戦うしかなかった。
それらが一瞬で分かって、私は口をつぐんだ。
でも…どうしても知って欲しかった。
それだけが全てじゃないということ。
何より…あなたを大切に想う人が、ここに居ることを……!