第7章 涙と決意
ケイト「まずは肺を刺された。でもってたくさん頭殴られた。
今も頭頂部に触ると解るぐらいのでかいたんこぶと、刺された額の真ん中が少しへこんでる。
1か月寝てた、丸々夏休み全部。
でもって、宿題は免除になったけど…
待っていたのは……夏休みの前と同じ、いじめが続く毎日だけだった。
「来るな」、「死ね」、「来たら殺す」
でも殺さなかった。ひどい言葉浴びせて嫌がらせしてくるだけだった…
死んだ方がよっぽどよかった。
怒りもなくなった。楽しいもなくなった。泣くのもなくなった。
自分がいらない存在だって、いなければいい存在だって解った。
消えなければいけない存在なのに生きてるから、そういう目に遭わされるんだって刻み込まれた。
父親は逮捕されても、いつ来ようとするか解らない。
釈放された後が怖い。
寝ても覚めても、周囲から、父親から、殺される夢しか見なかった。
不安ばかりで安らぐこともなくて…
結果、安心して眠れることもなかった。
満足に寝れなかった。食事ものどを通らなかった。
忘れるためにも、楽しいものといったら…
振り払えるものといったら、スポーツや運動しかなかった。運動神経はよかったから。
けれど…結局、今でも同じみたいになっちゃうんだ。
フラッシュバックみたいに当時の光景がよぎったら…
いつまでもその当時の感情がこびりついて…その夢を見そうで怖いんだ」がたがた
自身の両手を見ながら震えるケイトちゃんの顔は真っ青で…
人という存在に、怯え切っているように見えた。
そして…なんで、そういう風に育ってしまったのか解った気がした。
誰にも、ちゃんと向き合われないままで、助けられないままで…
何より、大切にされなかったから……