• テキストサイズ

白い流星【ソードアート・オンライン】

第40章 窮地





~余談~


・ミーの心


最初の記憶は、お母さんの母乳だった。

あったかくて、ホカホカしてて…美味しかった。


その時は目も開いてなくて…ご飯を探しに行ったのかお母さんがいなくなっていた。

それから兄弟と一緒に何度も鳴いた。でも帰ってくることはなかった。



その代わりにやってきたのは、聞いたこともない声だった。

急に持ち上げられて、知らない何かに身体を拭かれて怖かった。
どこかに入れられて、兄弟がいることに気付いてほっとした。

冷えていて震えてた身体が、少し温まってマシになった頃
怒ったような声が聞こえてきて、それからはしばらく兄弟と触れ合うばかりだった。


しばらくして、急に持ち上げられる浮遊感に襲われた。

かさかさかさ
揺れる中、そんな音が何度もした。今までで一番怖かった。

そしてさっきまでいた兄弟が…一匹、また一匹と消えていった。

あったはずの温もりが、どんどん消えていった。
怖くて…たまらなかった。どこへ行ったの?

お母さんも、兄弟も…どこかへ行ってしまって、何も感じられなくて…不安しかなかった。



「大丈夫だからな。絶対、見つけてやるからな!」

そんな声が上から聞こえてきた。


でも、そんなの関係なかったんだ。

隙間からか冷たい水滴が降ってきてて
寒くて寒くて、見えないから余計に怖くてたまらなかった。
不安で仕方なかったから、受け付ける余裕なんてなかったんだ。

必死に鳴いて鳴いて、鳴き続けた。その不安は…寝るまで消えることはなかった。



でも…震えが止まらない中…気付いたら温かい場所にいた。


ケイト「大丈夫。大丈夫だぞー」なでなで

そんな間延びしたようなおっとりとした声に…全身が優しく撫でられた。

暖かい水が降ってきて、身体を優しく拭いてくれて…暖かい風が吹いてきた。


それから暖かい何かに包まれる感覚がした。

お母さんや兄弟と一緒に居る時みたいに…とっても温かくて、間近に感じた。

それがとても心地よくて…安心した。


/ 1616ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp