第40章 窮地
「そんな…こと」ぷるぷる
ケイト「できるさ!
やるかやらないか、それだけだ。
その選択肢の内、行動できなければそれは「やらない」って選択肢を取ったということになる。
お前という存在は、この世に一人しかいない。
私という存在も、また同じだ。
お爺様も私と似てる所はあるけど、全部が全部同じってわけじゃない。好みも違えば趣味も違う。
だから…自分の命を、自分の持つ人格を、ちゃんと大事にして欲しい!
なんたってこの世に一つしかない、「大切な存在」なんだからさ!^^」ぎゅっ
そう両手を握り締めた折…気付けば、彼女は泣いていた。
「私は…そんなことっ」
ケイト「ある!」
「!!」
ケイト「あるんだよ。だって…生きているだろ?
お前はまだ、生きているだろう?」
「……でもっ…どうしたらいいって言うのよっ(涙)
私が人を殺したことは変わらないじゃない!」
ケイト「一人で背負い込むな」
「!」
ケイト「私は一人で抱え込む先輩だからな^^;
殺した後の年数じゃ、そっちが長いかもしれない。
それでも、辛いことの中で背負う年数に関しちゃこっちの方が上だ。
なんたって20年も耐えてきたんだからな^^」
「!!え?」
クレハ「ケイトは…父親に母親と姉を殺されて、ケイト自身も父親に殺されかけたのですよ」
「!!」
クレハ「その上、引き取った養父にまでそれまで父親からされていたのと同じように、激しい暴力と暴言が20歳になるまで続けられた。
警察に証拠を突き付けて訴えるまで。
それまで何度も警察に訴えかけても、なにもしてくれなかった。
嘘だと決めつけられ、助けを求める度にそれは苛烈さを増すばかりでした。
助けてなどくれなかったのです。誰一人として…
周囲の同級生は、その環境からの違いだけを見ていじめを続けてきていたので…余計に、人に対するだけで恐怖に縛られるようになった。
彼女は一人、私に会うまでの間ずっと
「自分が傷付いたり殺されかけること、不幸になることこそが、周囲にとって何よりの幸せなんだ」という固定観念に捕らわれていましたから」溜息
「そんな…こと」
知らずにいた情報だったようで、それに呆気にとられていた。
やはり大々的に取り上げられたのはSAOを終わりに導き、たくさんの人を助けたという点だけだったのですね。