第40章 窮地
ケイト「たまたまここで見つけれたのは神様のお導きか?(苦笑)
笑えないジョークだ。
あんな狂信的なのは見たことがない。
殺すことにどれだけ執着を持ってればあんなよどんだ気になるんだか…
いや、できないことに不満を常々持ち続けていったからこそ余計にああなったのか」
顎に手を当てて考えながら言われる中、私はそれに納得しました。
一瞬、ラフィンコフィンと対峙した時のことを思い出したのでしょう。
その当時に見えたのも同じだったようで、初めて見た時の表情と先程の狼狽した表情は全く同じで合致していましたから。
ケイト「なあ。BoB大会って言葉がさっきから何度も頭によぎるんだ。
何らかの関わりがあるように感じたんだが、気のせいかな?」
クレハ「知りません。私には霊感が無いのでわかりません」
ケイト「でも…なんか、頭の奥に勝手に浮かぶんだ。
霊感を通して主護霊様や神様から伝えられた時の感覚と似たように感じる。
魂同士の声のやり取りと同じ感じだ。間違いない。
BoB大会はまだ終わってないか?」
クレハ「いえ、あ!」
ケイト「どうした?」
クレハ「今終わりました。
お土産グレネードをもらって両方共に死んで、両方優勝しました。
シノンとキリトという方です」
ケイト「!キリトって」
クレハ「ええ。真剣勝負だったようですが、最後の最後で詰めを誤りましたね」
ケイト「待て。静かに…」指を口に当て
すたすた
木の影に止めた私達の車には気付かないまま、私達から見て奥にある公園の入り口へと歩いて去って行きました。
運転手「…動き出しましたね。追いますか?」
ケイト「ああ。でも車じゃ目立つ」
クレハ「ならば徒歩で行きましょう」
公園を去っていく影を見る中、私とケイトは追いかけました。
私達はそっと彼から見えない通りの壁に寄り添い、影に潜み、気配を消し、その足音だけに意識を向け始めました。
周囲には彼しかおらず、遠ざかっていく足音が途絶え、インターフォンの音が聞こえた。
そうしてインターフォンの音をした場所へ辿り着いた後、再び探ってみると一目瞭然。
男性が辿り着いた先は、マンションの一室でした。
「何かあればすぐ連絡する」とマンションの場所を伝えてその駐車場へ止めるように指示した後、私達はその一室の扉の前へと移動しました。