第40章 窮地
ケイト「エンジン音は静かに、あそこの公園の裏道に止めてくれ」
運転手「こっくり)わかりました」
クレハ「しかし何故そんなことが?」
ケイト「BoB大会の開始時刻が6時なのは知っているだろ?」
クレハ「ええ。ですがそれと今の状況に何の関連性が?」
ケイト「…これは勘だが…なんか、銃に見えるんだ」
クレハ「銃?」
言っていることが通じず、首を傾げる中…説明は続いた。
ケイト「銃に執着を持っている連中は…たまに銃を持った時の具体的なイメージが焼き付いているからか、オーラの出方がそうなっている奴がいる。
中でもあいつは特殊だ。
あいつから、何か黒いのを感じる。
霊感を使わなくても嫌ってほど感じ取れているんだが、気功を使ってでもこれは感じ取れる。
霊感を使わなくてもより明確に感じる為に編み出した外気功、《潜空》をやってみながらあいつを感じることに集中してみてくれ」
クレハ「ええ。わかりました」
ケイト「運転手さんも頼む」
運転手「ええ」
SPも兼ねた運転手は私専属としてついて下さり、買い物の時に運転をしてくれています。
随分と小さい頃から見て下さってる方で、信頼のおける人の一人です。
運転手「!これは…」
クレハ「なんです?あのまがまがしい邪気のようなものは」
ケイト「あれが…悪意や害意ではない。ただの…狂ったような『狂気』だ」
クレハ「どういうことです?」
ケイト「稀に、見るんだ。
PoHに会った時も、似たようなものを感じた。
殺すことを、悪だからやめようなんて思いは微塵もない。持ち合わせてさえもいない。
『ただ、殺しができれば――』
そんな想いを持ち合わせている奴に、こんなのがいる。
あれが、快楽殺人者となるもとだ。
と言っても、それはその人自身が勝手に心に抱くものであって「やめろ」と言ったって聞きゃしない。
ラフィンコフィンの連中と同じだ」
クレハ「!!ということは!」
その瞬間、関係者なのではという言葉が頭に浮かんだ。
ケイト「ああ。
今菊岡さんにメールを送って確かめてる。顔写真はさっきさりげなく乗車する際にフラッシュ無しで撮った。
間違いなく…PoH、ザザ、ジョニー・ブラック…この三人の中の、いずれかの関係者だ」真剣
そう言い切ったケイトの眼光は鋭く、闇夜でも光って見えた。