第39章 親になる前に
その日の晩
ケイト「はっ!)…男の子ができた場合、どうしよう;父親になんてなれないぞ?;」汗
クレハ「その時はお爺様に聞いてみましょう。兄弟もいたはずですから」
ケイト「あれ?いなかった気が」
クレハ「戦死しましたので」
ケイト「なるほど…なんかごめん;」
クレハ「いえ、お気になさらず」
ケイト「…ねえ、クレハ」
クレハ「?」
ケイト「治験、うまくいってるんだよね?」
クレハ「ええ。HIVの患者で寛解したのが50人弱います」
ケイト「そっか。次は第III相試験だね」
クレハ「ええ。第II相試験で60人の患者中にこの結果ですから、第III相試験の患者として立候補してくる方もいます」
ケイト「でもまだユウキとランが寛解してないんだよね。
前にランから言われたんだ。
「ねえ、ケイト…ユウキのこと、お願い。あの子、意外と無鉄砲な所があるから^^;」って。
で、任せろって言ったら
「大丈夫…あなたのことだから、きっと気負うかもしれない。
でも…大丈夫。自分のことを、責めないであげてね」って返ってきた。
きっと、こういうのをやってるって薄々わかってるんだと思う。
ユウキの方は少しずつ快方に向かっている。
ランの方もまた目に見えて快方に向かってるけど、遅かったからか完全じゃない」
クレハ「ええ。まだ根付いているようにも見えました。
何分罹っている年数が長いので、余計弱っているのもあるのでしょう」
ケイト「ランを…絶対に死なせたくない」
クレハ「私も同じです。できる限りやりましょう。
あの研究会もまた、寛解手段を見つけたことから解散しましたが
一部の方は残って弱り切った患者をより早く元気にさせる為の手段を研究中です」
ケイト「そっか…私もまだまだ頑張ろう!!
病気を寛解する前に死んじゃったら、それこそ元も子もないものね!」
クレハ「ええ!」
そう励ますように叫んでいく内、ケイトは嬉しそうに瞳を輝かせていました。
まだできることはあるという希望をようやく見つけられたようです。