第39章 親になる前に
カップを置いてから説明口調で言うと、一様に睨みつつ言われた。
ケイト「私が生まれる前まで最低でも10回以上はやってたよ。
そんな暴言と暴力が当たり前の家だったからか、長男はノイローゼになってるらしくて三男坊が継いでるんだって」
アスナ「あれ?じゃあお嫁に入ったんじゃなかったの?」
ケイト「最初はそうだったらしい。
でも、手紙も電話も禁止されて軟禁されてたんだって。
だから必死に姉が身ごもった状態で徒歩で逃げようとしたけど、車でまた捕まって戻されたらしい。
それまでの間に祖父母に連絡できたみたいで、そのお陰で「別れるか」「母方の養子に来るか」の選択になった。
祖父母達が「警察に訴えるぞ」って脅しっぽくなっちゃったらしいけどね」
アスナ母「そうなって当然よ。それで?その家はまだ続いているのよね?」
ケイト「うん。今もまだ続いてるよ」
アスナ「憎まれっ子世にはばかる」黒&ぼそっ
ケイト「父親は外面がいい人間で、母親は家族を大事にしようとする人だった。
だからか母親は心を病むって言うか、愚痴っぽくなって、ヒステリーに喚くようになった。
姉は要領がいい方だから…でも父親とよく対立してた」俯
アスナ母「一ついい?
朱に交われば赤くなるというけど…何であなたは同じにならなかったの?」
ケイト「そりゃされる側の痛みを知ってるからなりたくないって想いが勝ったんですよ^^;
普通なら痛いじゃないかって仕返しすると思うけど、やっぱりされる方も痛いでしょ?
だからか、今一殴ろうとできないんです。
怒り任せにしそうになっても、結局は無理やりブレーキかけちゃうんですよ。
同じになりたくないって」
アスナ&アスナ母『生まれ持った性格ね』納得
アスナ母「そう言えば私だけまだ名乗ってなかったわね。
結城京子、ある大学の経済学部で教授をしているわ。
改めて末永くよろしく」さっ(手を差し出す)
ケイト「よろしくお願いします」さっ(咄嗟に手を取る)
その瞬間、ケイトは思った。
あれ?末永く?
ってしまった!さりげなく今後も的な意味合いを仕込まれた!
ああ!したり顔で微笑んでる!!;
ま…いっか;
これからもアスナと仲良くやってくつもりだし。
アスナと関わる度に京子さんも自然と関わってくる可能性だってあるし←心の中で折り合い付けた