第39章 親になる前に
ケイト「アスナは、とってもいい子です。
だから…せっかく生きて帰ってきたんですから、この際ちゃんと見て下さい。
アスナの人生は、今ここにある時間は今しか変えられないんですから。
人に変化を求めるより、自分が変わった方が多少は変わってくれるものです。
それも踏まえて進むか否か、それを決めるのは他でもない本人なんですから」
アスナ母「困ったわね…ろくにできないじゃない」
ケイト「そういうものです。
挫けそうになった時に叱咤激励したり、金銭面の補助だったり…そういった些細なことしかできないかもしれない。
それでも、それがあるかないかではとっても変わるんですよ。全部なかった私みたいにね^^;」
自嘲気味に笑うケイトに…本当に私という人生が見えていることがわかった。
ケイト「あったらって…どれほど思ったことか」遠い目
アスナ母「ふふっ…嘘発見器でも作れるんじゃない?あなたが中に入れば的中率は100でしょうに」微笑&溜息
ケイト「いえいえ、そういうことに力を使う気はありませんよ」
アスナ母「そう…少しだけ見たかったのだけれど」くす
そう雰囲気が良くなった時、今になってアスナが行動に移した。
アスナ「…ごめん…ごめんね」くいっ(ケイトの服の裾を掴む)
ケイト「?アスナ?」
アスナ「いつも…助けられてばっかりで…
私がお母さんに言いたかったこと、伝えたかったことまで全部言わせちゃって」
ケイト「そんなに泣くなよ^^;
大丈夫。肝心のお前の意思はまだ言ってない。
自分で、自分の言葉で、ちゃんと真っ直ぐに伝えればいい」なでなで
アスナ「…うん;」ぐすっ
ケイト「アスナのお母さん。一つだけお願いします」
アスナ母「?」
ケイト「母親としてなしたいこと、子供の時にして欲しかったこと、逆に子ならどう感じるか…
そのことを踏まえた上で、アスナと接してあげて下さい。
アスナなら大丈夫です。とびっきりのいい子ですし、何より…頑張り屋さんですから」にっこり
涙を落としながら笑って言い放たれるその言葉は、本物だと否が応でも感じた。
本物の霊能者はテレビで見たことはあるけれど、ただのやらせだと思っていた。
でも…目の前のそれは間違いなく本物だと思った。
少なくとも…先程の会話だけではっきりと感じさせられたから。