第39章 親になる前に
ケイト「あなたが手塩にかけて育ててきたんです。信じてあげて下さい。
私の命を支えてくれた、大切な人です。私も保証します」
アスナ母「……ええ。考えておくわ」
アスナの人生は、アスナのもの。他の誰のものにもできない。
どうありたいか、どうあるかを決めるのは本人だけ。
親の思い通りに動かそうとした所で、その親自身と本人とで人格も違うのだから…反発もされて当然。
私が…そうだったように。うまくいかないと決めつけられて、余計に反骨精神ばかりが育ってしまったのかしらね。
アスナ「お母さん…SAOは最初、ただの気まぐれで入っただけなの。
世界初のVRMMOって聞いてたから出来心で入っただけで…
2年間、いつ死ぬかもわからないような環境だった。
でも…ここにいるケイトちゃんや、そこでできた仲間のお陰で生きて帰ってこれたの。
それだけじゃなくって、ずっと…人の温かさに触れることができた。
私にとっては初めてで、お母さんやお父さんともあまり一緒に居れなかったし、時間だってあまり作れたことがなかった(涙)
お兄ちゃんとたまに遊ぶことだってあったけど…友達だってあまりいなくって…そこまで温かく接してくれる人なんて、そういなかったから…余計に、嬉しかったの」
アスナ母「そう…
共働きだったから、余計に寂しい思いをさせてたのね」俯
アスナ「お母さんは嫌がるかもしれない。
でも…私…もっと、皆と一緒に居たい。
周りから後ろ指さされたって構わない。どんな風に言われたって構わない。
少なくともこの想いは、一時の情なんかじゃない!
命のやり取りに巻き込まれた時だって、必死になって助けてくれた。
自分の命だって危険になるはずなのに、助けてくれた。ちゃんと…私を見てくれた。
だから…私には…結婚したい人がいます。
その人はALOに捕らわれてた時も助けに来てくれて…お母さんも知ってるかもしれない」
アスナ母「そう…
でもね、後々周囲からの不満は尽きないものよ」