第38章 月例大会
・罪
この世界では、SAOの中で2年もの間に何が起こったかはわからないままでした。
情報提供をしなければ、「どこへ行っていたか」という行動を示すログしか知る由もなかったでしょう。
ですが、ケイトが生み出したアイテムによって事態は一変しました。
「過去の映像を映し出すトラップを利用して作った、保存・記録しておくアイテム(1060ページ参照)」です。
そのアイテムは過去の映像というだけあって、どれだけ昔の映像を映し出すかを「時間指定」できるのです。
それによって右下に時間経過を示すように設定すると共に、撮られた動画はデータとしてナーヴギアに保存されており
全階層における各所全ての「SAO開始からクリアまでの映像」を永遠撮り続けたデータが遺族を中心に明かされることになりました。
2年分の情報ということもあり、それは非常に長く、各個人全ての全行動が筒抜けで、ラフィンコフィンの「殺しの瞬間」まで丁寧に撮られていました。
結果として、遺族の方達は死因が明確に判明した。
その中でもラフィンコフィン22人の遺族達は「ゲームだと思ってのこと」「死ねばログアウトされ永遠に帰ってこないが、それが現実における「死」かどうかゲーム内から確かめる方法はなかった」等の理由があり責められることはなかった。
ラフィンコフィンによって殺された50人(409ページ参照)の遺族の方達はラフィンコフィンの遺族を責めようとしていたが、死刑クエストに伴って殺されていたことでその行動は止まった。
ただ、その死刑クエスト自体システムであり、かつ「殺されなければもっとラフィンコフィンによる死者は出ていた」という証明も上記の動画での当人達の行動が示す「人格」によってなされたため、死刑執行に携わった私達は不問に処される上、世間や社会から褒め称えられた。
そもそもが皆を現実へ帰る為の手助けをした上、ラフィンコフィンに脅されて殺しをした方達を助けたと共に「ゲーム内における犯罪の抑止」に務めた功績が非常にでかく、帰還者達からの感謝が多く寄せられたことかららしい。
オレンジギルドの方々は中で罪を償った人達に関しては罪に問わず、「ゲーム内かつ切迫した状況ではあれど人としてすべき行動ではない」と反省するよう注意されたそうだ。
結果、犯罪者として罪に問われる人は皆無でした。