第37章 テイマーズカードドラフト
ケイト「!」
その瞬間、瞳が僅かに揺れたのを見逃さなかった。
目が潤み、緋想に染まって固まっていた表情が僅かに変わった。
クレハ「あなた一人で、全てを変えられるというわけではありません。
社会構築の時と同じく、協力してくれるものがいてこそ変えられるものがあった。
全て一人でできなくてはいけないということなどありません。
その為に皆がいるのでしょう!
また、あの時のように自らに無理を強いて倒れるつもりなのですか?」
ケイト「!」
クレハ「また一人で背負い込んで徹夜を続けて殺そうとするのですか?」涙目
ケイト「じわっ)…う、ううん。違う…私は、そんなの…また、繰り返すつもりなんてっ」涙目
クレハ「鼻声になってますよ?」そっ
そっと頬を撫でる中、風が優しく私達を包み込んだ。
がきぃん!!
レンと天狐が暴れ回る中、そういう込み入った話ができるよう気遣って風の結界を張ってくれたようです。
クレハ「…ケイト、あなたの命は…あなた一人の勝手で好きにしていいわけではありません。
私にとっては、あなたが大切で仕方がない。
だから失いそうになれば死に物狂いで護りに行きます。死んででも助け出します。
それほどに、あなたが愛しいと思っているんです。
だから…私にも守らせて下さい。
一人で抱え込んで結論付け、また一人きりになるのではなく…
「周囲にとっては自分が傷付くことが幸せなのだ」と思い込むのではなく…
今ここにいる私と向き合って下さい。
その過去の束縛は、あなたが作り上げたものです。環境に抗えず、抗うことで傷付けることを憂うからこそ、その優しさまでもが、その全てがあなたを傷付けた。
傷付け続けていく中でも周囲は笑っていた。各々の日常を謳歌して笑う時が多かった。
だからこそそのようになったのだということぐらい、私でもわかります」ぎゅうっ
ケイト「っ…うっ;;」
背中に両腕を回し、撫でる中、一つの嗚咽が響いた。
クレハ「ここにいるのは私だけです。
今はもう、その張り詰めた気を緩めた所で責める人などいません。
私といる時ぐらい、感情任せに泣いたっていいんです」ぽんっぽんっ
ケイト「っ;;ぅぁぁぁぁぁぁ;;」
その途端、溢れだしそうな状態で止まっていた涙が堰を切り、零れ落ちていった。
一つの慟哭と共に――